昭和63年
年次世界経済報告 各国編
経済企画庁
I 1987~88年の主要国経済
第11章 ソ連:88年,経済はやや回復へ
89年計画をみると(前掲第11-1表,第11-2図),前年計画値比で生産国民所得3.8%増(88年計画433%増),工業総生産4.0%増(同4.5%増),農業総生産2,0%増(同3.4%増),工業の労働生産性4.6%増(同4.5%増)となっており,88年計画に比べてやや消極的な数字となっている(付注11-7)。
89年計画の特徴としては,①生産財生産2.5%増の目標に対し,消費財生産は6.0%増といった高い目標を設定していること,②88年1月より施行された国営企業法に基づく国営企業の独立採算制・資金自己調達制への移行を89年度中に完了すること,③国家から企業への注文である「国家発注」の割合を88年の86%から89年には25%程度へと大幅に削減し,同時に,国家がら企業に配分される資材の量も88年の1/10以下へと大幅に削滅すること,などが挙げられる。
88年予算をみると(第11-5表),公式にはソ連では初めての赤字予算を組み,歳入4,584億ルーブルに対して歳出4,947億ルーブルと,363億ルーブルの歳出超過となっている。歳出面では,国防費が202億ルーブルと2年連続して前年と同額に据え置かれる一方,歳入面では,前年予算ではマイナスとなっていた企業の利潤納付が再び増加(5.1%増)し,またアルコール販売削減の影響で減少していた取引税も大幅に増加(17.0%増)している。