昭和63年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1987~88年の主要国経済

第10章 中国:89年以降は経済過熱調整

4. 投資動向

85年には,投資資金の窓口を財政から,銀行等へ移行する改革が行われ,84年第4四半期の実績をもとに貸出限度額が決定されることとなったため,この時期投資は急増した(85年の固定資産投資総額前年比38.8%増,うち国営企業によるものは同41.8%増)(第10-4表)。86年以降は投資計画では前年実績比ゼロ成長に抑えるとされていたにもかかわらず,86年前年比18.7%増,87年同20.6%増となった。

投資を主体別にみると,国営企業に対しては引き締めが効きやすいことから87年には同16.1%増となっている一方で,集団所有制企業では同39.6%増,個人企業等では同22.6%増とより大きい。また資金の内訳をみると,国家予算内投資の占める割合は81年の28.1%から,87年には13.1%と減少し,国家予算以外(国内借入,自己資金,外資)からの投資が大部分となった。投資の主体はほとんど国家から企業へ移行したとみることができよう。86年以降,ホテルや事務所ビル等の非生産的な建設への投資は厳しく制限されたことから,生産的な投資のシェアは81年の55.3%から87年の62.9%へと増加している。

88年は,投資規模は前年と同規模とされていたにもかかわらず,1~11月の基本建設投資は17.8%増,更新改造投資は28.1%増と拡大した。これに対して,88年9月には貸出金利の引き上げが行われたほか,大規模建設プロジェクトの一部延期・中止等の措置が採られている。89年には固定資産投資を88年実績比20%圧縮することが決定された。


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