昭和63年
年次世界経済報告 各国編
経済企画庁
I 1987~88年の主要国経済
第3章 イギリス:内需中心にブーム化
平均賃金収入(基本指数,全産業)は,87年春までは年率7.5%の上昇を続けていたが,その後,上昇テンポは急速に高まりを示しており,88年初の8.5%から8,9月には9.25%に上昇した(第3-6表)。88年夏以降の賃上げ交渉では,物価上昇率の高まりや良好な企業収益の伸び,熟練労働者不足等から賃上げ圧力の高まりがみられ,9%台の要求が相ついでいる。政府部門でも,88年度の看護婦,教員,警察官などを中心とする大幅賃上げ(平均8.8%)に続いて,89年度にも7.5%程度の引上げ要求が出されている。
消費者物価上昇率(前年比)は,87年4.2%の後,88年に入って春以降上昇テンポを高め,11月には6.4%となった。88年に入ってからの上昇は,主として,住宅ローン金利の引き上げによる住居費の上昇(同15.1%)によるものであり,そのほかでは,国営企業料金等(同7.5%),レジャー・サービス(同7.0%)などの上昇が大きい。住宅ローン金利(1988年ウエイト5.4%)を除くと同4.7%となっている。
原燃料卸売物価は,ポンド相場は比較的に堅調に推移しているが,石油価格や商品市況の持ち直しなどもあって上昇傾向を続けており,87年の3.1%上昇に続いて,88年1~11月の前年同期比も3.1%の上昇となっている。工業品生産者価格は,87年3.8%上昇の後,88年に入って上昇率はやや高まりを示し,1~11月の前年同期比は4.4%の上昇となっている。製造業の生産性上昇率は,87年には7.3%と大幅であったが,88年春以降はやや鈍化がみられる。労働コスト(製造業)は87年にほぼ横ばいとなった後,88年1~9月には前年同期比1.3%上昇した(第3-6表)。