昭和63年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1987~88年の主要国経済

第3章 イギリス:内需中心にブーム化

5. 貿易・国際収支

(1)貿易収支赤字の急増

貿易収支は赤字急増を続けており,87年101.6億ポンドの赤字の後,88年1~11月の累計赤字は190.4億ポンドと記録的高水準となっている。88年の赤字幅の拡大は,非石油収支赤字が大幅化し,石油収支も黒字幅を縮小したことによる(第3-7表)。

輸出は,87年には,石油輸出の回復もあって前年比9.3%増(86年は6.8%減)と持ち直したが,88年に入って,石油輸出が7月のリグ火災による落ち込みもあって伸び悩み,1~11月の前年同期比は1.3%増にとどまっている(第3-5図)。交易条件は,石油価格やポンド相場の動向を背景に87年の1.6%上昇の後,88年1~9月の前年同期比も1.7%の上昇となっている。数量べースでみると,非石油輸出は87年6.6%増の後,88年初にかけて伸び悩んだが,その後は回復しており,88年7~9月期の前年同期比は5.6%増となっている。しかし,石油数量の減少が続いているため,輸出数量全体としては年初来ほぼ横ばいとなっている(88年1~10月の前年同期比は0.8%増)。

一方,輸入額は,87年10.0%増,88年1~11月の前年同期比14.2%増と輸出の伸びを大幅に上回った。数量ベースでも,88年1~10月の前年同期比14.2%増となっている。製品輸入額は,1~9月の前年同期比17%増とより大幅に増加している。これは,消費ブームを反映した乗用車の輸入増(88年1~7月の前年同期比27%増)等のほか,生産拡大のための資本財,建材などの増加によるものである。このため製品貿易収支は,83年以降赤字化し,87年の99億ポンドについで88年1~9月にも127億ポンドの赤字と急拡大している。

(2)大幅化した経常収支赤字

経常収支は,86年に赤字に転じ,87年250億ポンドの赤字の後,88年にも貿易収支の赤字急増から,1~10月累計赤字は124億ポンドに拡大した(政府当初見通しは40億ポンドの赤字,改訂見通しは130億ポンドの赤字)。貿易外収支は,87年には,利子・利益・配当(IPD)黒字は55.2億ポンドに拡大したが,ECなどへの移転が急増したため,黒字幅を縮小した(76.6億ポンド)。88年に入って,サービス収支の黒字は縮小しているが,IPDは前年を上回る黒字となっている(第3-7表)。このため,対外資産残高も86年末の1,132億ポンドをピークに減少に転じ,87年末には895億ポンドとなった。


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