昭和33年
年次世界経済報告
世界経済の現勢
経済企画庁
第七章 東欧経済の動向
一九五七年には全ての東欧諸国は(ブルガリア,東独は例外として)非常な輸入超過を招いた。一九五六年にくらべて一九五七年の輸入増加はポーランド,プンガリー,ブルガリアの三〇%から東独の約二〇%,チェッコスロバキアの一六%に及んだ。この年の燃料原材料輸入はこれら部門の不足の救済に役立つた。そして輸入はまた一九五六年の平年作からもたらされた穀物不足をカバーした。またポーランド,ハンガリーブルガリア,アルバニアでは,インフレ圧迫の脅威を阻止するために消費工業製品が輸入された。それは消費所得の増大を国内の消費財生産によつて完全にカバーできなかつたからである。個々の国が輸入した燃料,原材料等の商品構成はその経済の緊急な必要に応じてとられた救済を示している。それは第7-19表の数字によつて例証される。
一九五七年ソ連はこれらの商品をより多く供給してきた(とくに燃料原料等)。それは利用しうる人的労働力,生産能力,すでに示した信用の完全利用の障碍となっていたものである。また自由に移譲しうる通貨によるソ連の輸入の支払,信用の供与等は若干の東欧諸国にとつて,海外からの輸入に融資する上で役立つた。加うるに生産能力の完全利用を認める特殊の措置が若干の国で購ぜられた。ソ連がチェッコスロバキアから大量の棉繊維品を購入したこと,その生産に特別の綿花を供与したことは一例である。他の例としては機械設備の注文とともに東独,ポーランドに特殊鋼の引渡しをしたことがある。ブルガリアでは,鋼鉄,木棉,羊毛,その他半製品をプルガリア工業へ完成のために引渡すことによつて,生産能力の完全利用が容易となつた。