昭和58年

年次経済報告

持続的成長への足固め

昭和58年8月19日

経済企画庁


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序章

4. 世界経済への貢献

以上のような観点から,日本としてどのような形で世界経済の回復と発展に貢献しうるかの方策を検討していかなければならない。日本経済は,全体としては,民間経済活動を中心に高い効率性が保たれており,成長力も高い。今後もこうした効率性を維持していかねばならないのはもちろんであるが,同時にその効率性の成果を何に使うかを考えていくことが必要であろう。

まず対外的には,一層技術開発を進め国際市場に安くて良質の技術,商品を提供していくことはそれ自体大きな寄与である。しかしそれだけで事足れりとするには,世界における日本経済の比重は余りに大きくなっている。先進諸国からも,また発展途上国からも日本が技術移転を伴う資本輸出を積極的に拡大していくことが期待されており,同時に国内市場を一層外に向かって開かれたものにしていくことが強く求められている。わが国の市場を一層外に向かって開かれたものにしていくことは,次のようないくつかの意味で日本経済にとっても極めて重要であると考えられる。一つは保護貿易への動きを阻止するため,日本が自由貿易の旗手として発言力を強めるには,自らの市場が世界で最も開かれた市場の一つであることを実績で示す努力をしてゆく必要があることである。第二に,海外諸国からみて,日本が単に原燃料のみならず製品の輸出市場としても重要であるという認識が強まれば,日本に対する国際的評価は一層高まると考えられることである。また多くの国と互の市場依存関係を深めることは,国際的な経済安全保障を強める側面もあることを忘れてはならない。第三に,長期的な内外均衡の維持という観点からも,今後は日本が原燃料を主体とした輸入構造で対外均衡を維持していくことは困難になっており,市場条件に応じて製品輸入が拡大していくような環境を整えていくことが必要なことである。第四に,借款や技術協力とならんで製品輸入の拡大が発展途上国の経済社会の発展に大きく貢献することである。


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