序章

1. はじめに

日本経済はようやく景気回復に向いつつある。しかし,なお内需中心の力強い回復を示すには到っていない。また今回の景気回復が今後の安定的発展につながっていくためには,いくつかの障害を克服していく必要がある。

本年度の年次経済報告では,第一に,昭和57年度を中心に日本経済の動向を回顧し,そこでみられた問題点を分析するとともに景気の現局面についての判断を行なっている。

第二に,現在の日本経済はどれだけの自律回復力が整っているかを分析し,いくつかの問題点を指摘した。また今後それが内需中心の安定した拡大につながっていくために,どのような条件整備が必要かを検討している。

また第三には,財政改革を進める段階における景気調整策の有効性を分析・検討し,財政金融政策による景気調整機能に関する考え方を示した。