昭和44年
年次経済報告
豊かさへの挑戦
昭和44年7月15日
経済企画庁
第1部 昭和43年度の景気動向
1. 昭和43年度景気の諸特徴
昭和43年度は,日本経済の実力があらためて見直された年であつた。
経済は,42年秋から実施されていた景気調整の影響も比較的軽微のうちに,全体として拡大基調をつづけ,また国際収支も大幅な改善をみせた。43年8月の金融緩和措置のあとも慎重な政策運営態度がとられたが,速い拡大がつづき,昭和43年度の経済成長率は14.4%(国民総生産,実質成長率,推定)となつた。過去3年間,10%をかなり上回る成長率がつづいたわけであるが,景気上昇の期間としても過去の最長であつた岩戸景気(昭和33年6月から36年12月までの42ヵ月)の記録を本年5月に更新し,なお上昇をつづけている(第1図)。
海外では,アメリカですでに景気上昇99ヵ月(本年5月)を記録しているが,国際収支難と景気過熱に悩んでおり,国際収支好調のなかで景気上昇がつづいているのは,イタリー(52ヵ月,経常収支黒・総含収支赤)とわが国の場合である。
このように,長期にわたつて上昇を持続していることが第1の特徴であるが,以下そうした大型経済の内容をみてみよう。