昭和37年
年次経済報告
景気循環の変ぼう
経済企画庁
昭和36年度の日本経済
貿易
交易条件
36年度の輸入価格は、国際商品相場の低迷を反映して前年度に横ばいの推移であった。一方輸出価格の方も、国内卸売物価が頭打ちから軟調に転じたのに歩調を合わせ、前年度の水準を2.5%下回り、交易条件は前年より2.5%悪化した。我が国の交易条件は33年以降毎年上昇傾向をたどってきたが、4年ぶりに悪化した。
輸出価格を商品別にみると、食料品が魚介類を中心に堅調を示したのと、非金属鉱物製品、雑品が前年度に比べてやや値上がりしたのを除いて、あとは各商品ともかなりの下落を示している。特に、機械類の7.9%下落、金属及同製品の5.9%下落が著しく、化学製品、繊維及び同製品も値下がりした。これらはいずれも、金融引き締めによる国内価格の軟調傾向を反映したものである。
輸入価格の方は、繊維原料、金属鉱及びくず、雑品は前年度より値上がりしたが、あとは概ね値下がりしている。大豆、生ゴムなど海外市況軟化の影響とみられ、36年末ごろからは、綿花、羊毛、くず鉄なども上げどまりとなっている。国際商品相場はいぜん低迷を続けており、我が国の輸入価格も全般的に軟調気味に推移するものと思われる。
わが国の交易条件は、33年以降改善傾向をたどっていたために、毎年、価格変動による貿易利益が生じていたが、36年は逆に、損失を生じたことになる。36年は輸出数量指数は前年を7.5%上回ったのに、金額指数は、4.5%の増加に止まり、逆に輸入の方は、数量指数が30.6%増えたのに、金額指数は29.4%増である。交易条件の影響をみるために、36年の輸出入を前年価格で行われたものとして推計してみると、 第1-8表 のごとく36年の貿易収支の赤字は61百万ドル縮小していたはずである。前回の景気回復時についてみると、33年には、輸出価格は32年より4.8%下落としたが輸入価格は16.2%とさらに大きく値下がりして交易条件は、13.7%改善された。今回は前回の回復時と異なり、輸入価格にそれほど大きな値下がりは予想されず、価格の変化による輸入減少はあまり期待できない。