昭和29年
年次経済報告
―地固めの時―
経済企画庁
国際物価に対する割高
朝鮮動乱の勃発に伴う海外需要の急激な増大から、国際物価は顕著な騰貴を示した。国によって若干の差はあるけれども、総体としては昭和26年春頃にピークを示して動乱前の2─3割高となり、その後はほぼ横ばいになっている。ところで、我が国物価も26年4月をピークに達し、その後多少の波動はあるものの大勢は持ち合っているが、動乱前に対する騰貴率はなお5割余の高い水準にある。もっとも動乱前の我が国物価は対外的にみてある程度割安であったから、こうした騰貴率の相違がそのまま我が国物価の対外的な割高の幅を示すものではないが、それでも大体の見当として2割近くは高いといわれている。しかも、26年4月頃までに一度開いた対外的割高の幅は解消されず、今日まで依然として持ちこされてきた。
主要商品の国内価格について国際比較したものが総説 第80表 に示されている。これによると、綿糸、人絹糸などの繊維関係は約1割5分程度割安になっているが、そのほかはおしなべて高く、ことに重化学工業品は著しい開きをみせている。すなわち、粘結炭、銑鉄、亜鉛、硫安などは約2倍、薄板、電気銅、苛性ソーダ、人絹パルプなどは4割高で、特に原料品ないし素材の割高が顕著である。