トピック 統計改訂によって高まるアメリカの潜在成長力
ここ数か月、アメリカの潜在成長力について強気の見方が多くなってきている。10月末に改訂されたGDP統計によれば、アメリカの潜在成長率はこれまで考えられてきた水準よりも高くなっていると考えられる。
簡便な方法を用い、オーカンの法則(注)により90年代の潜在成長率を計測すると、改定前のデータでは2.4%程度であったが、改訂後のデータでは2.9%程度に高まっている。他方、70年代初頭から80年代までの潜在成長率は、統計改訂により0.3%ポイント程度高まっている。従って、90年代の方が、0.2%ポイント程度改訂幅が大きい。
各種サーベイにみる長期的な潜在成長率に関する平均的な見方も、足下の潜在成長率の高まりを反映して3%程度にまで高まっている。
図1 オーカンの法則による潜在成長率の変化
表2 アンケート調査による長期経済見通しの変化
(%)
見通し発表時期 |
今後10年の実質GDPの 年平均成長率予測 |
前回見通し からの改訂幅 |
99年12月 |
3.0 |
0.3 |
99年6月 98年12月 98年6月 |
2.7 2.6 2.5 |
0.1 0.1 - |
(出所)Federal Reserve Bank of Philadelphia "Livingston Survey"
(注)オーカンの法則とは、産出量の伸びが潜在的成長率を上回ると失業率は低下し、それが潜在成長率を下回ると失業率は上昇するというものであり、図1においてはY切片の値が潜在成長率とみなされる。