米国の株価の動向について

増加を続ける機械設備投資と減少する構築物投資

3月末に発表された98年10-12月期のNIPA統計(米国のGDP統計)によると、民間設備投資は、11.9%増(前年同期比)と高い伸びであった。これを、コンピュータ等の「機械設備」と、工場やビル等の「構築物」の2つに分けてみると、機械設備投資の16.8%増に対して、構築物投資は、GMスト等の影響もあった7-9月期の▲1.5%に続き、▲0.3%と減少している。98年一年間を通じてみても、民間設備投資は11.8%増の力強い伸びを示している中、機械設備投資は16.5%増と一本調子の好調さであったが、構築物投資の伸びは▲0.1%と好景気にもかかわらずマイナスを記録した。

過去の景気循環をみると、上昇局面においても、下降局面においても、機械設備投資と構築物投資とは、ほぼ同じタイミングでボトム、ピークを迎える傾向があった。しかし、91年以降の景気拡大局面では、構築物投資の増加した時期は、機械設備投資が増加に転じた時から大きく遅れている。さらに、97年以降、機械設備投資が堅調な伸びを続ける一方で、構築物投資は伸びが鈍化しており、前述したように、直近では、減少に転じている。

このように、構築物投資と機械設備投資とがこれまでと異なる動きを示している背景には、オフィスビルなどの建設は好調であるものの、鉱業や輸出産業を始めとした部門において工場等の建設投資が減少したことが挙げられる。また、産業全体に占める製造業のシェアが低下傾向にあることや、製造拠点の海外移転などといった構造的な変化も反映している。他方、機械設備投資は、情報関連機器等への旺盛な投資を反映して伸び続けている。

アメリカの設備投資の推移 イメージ