第2章 成長型経済の実現に向けた課題

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第1章でも見た通り、2025年半ば~後半の日本経済は、米国の通商政策により米国向け自動車輸出や自動車産業の収益等が下押しされるなどの影響がみられたものの、内需の柱である個人消費は3四半期連続で前期比プラスとなるなど、景気の緩やかな回復が続いている。一方、食料品を中心とする物価上昇に賃金上昇が追い付かず、潜在成長率は伸び悩むなど、「成長型経済」への移行は道半ばとなっている。

こうした観点から、政府は、2025年11月21日に「「強い経済」を実現する総合経済対策」を策定し、「危機管理投資」と「成長投資」を進め、「暮らしの安全・安心」を確保するとともに、雇用と所得を増やし、潜在成長率を引き上げることを目指した政策に取り組んでいる。まずは足元の物価高対策を最優先で実施し、企業が継続的かつ安定的に賃上げできる環境を整える。あわせて、生産性の向上を通じた「強い経済」の実現に向け、17の戦略分野を中心に官民が連携して投資を進めること、科学技術力・イノベーションを興せる人材を育成することなど、成長型経済の実現に向けた政策方針を示している。

第2章では、成長型経済の実現に向けた課題として、以下3点を取り上げる。第1節では、物価上昇が家計に与える影響が世帯属性(人数、年齢、所得階層等)ごとに異なることを属性ごとの消費バスケットを詳細に分析することで明らかにし、近年の物価上昇や政策対応がどのような世帯にどのように強く影響したかを検討する。第2節では、賃上げの広がりやその特徴について分析するとともに、人的資本向上の重要な基盤となる人的投資、自己啓発の現状と課題について検討する。第3節では、我が国企業の行動の変遷について、金融構造のレンズを通して俯瞰したうえで、企業が力強く成長するための手段としてM&Aについて論じる。

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