第3章 企業部門の動向と海外で稼ぐ力

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ウィズコロナの下での経済社会活動の正常化、ロシアによるウクライナ侵略を背景とした原材料価格の高騰、急速な円安の進展など、我が国企業部門を取り巻く環境は2022年に大きく変化した。本章では、こうした環境変化が企業部門に与える影響を分析するとともに、そうした環境の下で浮かび上がる今後の成長に向けた課題について議論していく。本章の構成は、以下のとおりである。

まず、第1節では、コロナ禍と世界的な物価上昇、供給制約の影響に直面する中での我が国の企業部門の動向をみていく。感染拡大と経済活動の制限が繰り返されてきた状況から、ウィズコロナへの移行によって経済活動が正常化に向かう中、我が国企業のコロナ禍からの回復過程がいかなるものであったかを総括するとともに、2022年に生じたロシアによるウクライナ侵略に伴い拍車がかかった世界的な物価上昇や中国のロックダウン等による企業部門への影響を確認していく。

第2節及び第3節では、原材料価格の高騰に伴う貿易収支の悪化と経常収支の赤字転化、円安の進展といった対外経済関係に大きな注目が集まる中、我が国の海外で稼ぐ力に着目した分析を行う。具体的には、第2節では、第1章で確認した経常収支の動向について長期的な観点から考察を行い、我が国の対外経済構造の長期的な変化及びその背景について確認する。第3節では、今後我が国企業が海外で稼ぐ力を高めていく上での手がかりの一つとして、現状では海外で稼ぐ力が限定的であり、したがって今後の成長余地が大きく残されている分野である中小企業と農林水産業の輸出、インバウンドの動向と課題を考察する。

最後に、第4節で全体を総括する。

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