第1章　世界経済の不確実性の高まりと日本経済の動向

2022年度前半の我が国経済は、2022年3月にまん延防止等重点措置が全て解除されて以降、ウィズコロナの下で消費と設備投資が前期比プラスで推移するなど、緩やかに持ち直し、多くの需要項目でコロナ禍前水準を回復した。一方、ロシアのウクライナ侵略等による原材料価格の上昇や円安による輸入物価の上昇は国内物価を上昇させ、家計・企業の活動に影響を与えている。また、世界的な金融引締めの動き等により、海外の景気減速も懸念される。

第1章では、コロナ禍からの回復を2021年後半以降の期間を中心に振り返りつつ、我が国経済の現状について概観する。まず第1節では、GDPなどのマクロデータを基に、ウィズコロナの下での経済動向を主要先進国と比較しながら我が国の回復の特徴を確認する。続く第2節では物価上昇の家計・企業への影響や物価の基調的な強さなどについて検証を行う。第3節では、我が国経済の当面のリスクと中長期的な課題について整理する。