付注2-2 消費マインドが消費支出に与える影響について

1 概要

消費マインドが消費支出に与える影響について検証する。具体的には、小川(2020)を参考にしてVARモデルを構築し、消費マインド指数の外生的な変化に対する消費支出の反応を確認した。

2 データ

内閣府「国民経済計算」、「消費動向調査」

3 推計方法

(1)推計式

四半期データを用いて、実質可処分所得、実質家計最終消費支出、消費者態度指数の3変数から成るVARモデルを構築した。また、構造ショックの識別に当たっては、実質可処分所得、実質家計最終消費支出、消費者態度指数の順に外生的であると仮定して、コレスキー分解を行った。ラグ次数はAICにより選択された2を採用した。

(2)変数の定義と使用データ等

・実質可処分所得

「国民経済計算」における「家計可処分所得・家計貯蓄率四半期別速報」より可処分所得(実質季節調整系列)を取得。

・実質家計最終消費支出

「国民経済計算」における「四半期別GDP速報」の家計最終消費支出(実質季節調整系列)を取得。

・消費者態度指数

「消費動向調査」における消費者態度指数(季節調整値)を取得。

(3)推計期間

2000年第1四半期~2019年第4四半期

4 補足

VARモデル構築に先立ち、可処分所得、家計最終消費支出、消費者態度指数の3変数間の共和分関係をJohansenテストで確認したところ、共和分関係が1つ以上存在することが示唆された。一般に、単位根や共和分関係がある場合、レベル変数のままVARモデルを推計しても推定量が一致性を持つことが知られており、本編でもVARモデルにおけるインパルス応答関数を採用した。なお、VECモデルを構築した上で、インパルス応答を確認してもVARモデルとほとんど同じ形状のインパルス応答関数が得られる(付図2-1)。

また、消費者態度指数と消費支出の関係の頑健性をみるために、VARモデルの変数の外生性の順番について、消費者態度指数、実質可処分所得、実質家計最終消費支出の順に外生的であるとしたモデルにおいてもインパルス応答を確認した。結果として、反応が有意となるタイミングや反応の大きさは、実質可処分所得、実質家計最終消費支出、消費者態度指数の順に外生的であると仮定した元のモデルのものと大きな差異はみられなかった。