付注1-3 消費者物価上昇の要因分解について
1 概要
消費者物価指数における生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)について、賃金上昇や需給状況、輸入財のコスト上昇による影響をみるため、寄与度分解を行う。
2 データ
総務省「消費者物価指数」、内閣府「国民経済計算」、日本銀行「企業物価指数」により作成。GDPギャップは内閣府試算値。
3 推計方法・結果
消費税の影響を除くコアコアを被説明変数とし、その変動のうち賃金要因を単位労働コスト(ULC)、需給要因をGDPギャップ、輸入財のコスト要因を輸入物価により説明するモデル式により重回帰分析を行った。
ただし、輸入物価の上昇局面では、投入価格上昇が産出価格に一定程度転嫁されることで消費者物価の上昇につながるもののコスト増を企業が吸収する部分もあり、下落局面では投入価格下落がそれまでの損失等の補填に回され消費者物価の下落が起こりにくい可能性が考えられる。このため、輸入物価については、上昇局面と下落局面を分けて分析を行っている。
この分析により、ULC、GDPギャップ、上昇時の輸入物価のパラメーターは有意である一方、下落時の輸入物価のパラメーターは有意でないとの結果が得られた。つまり、賃金や需給の変動、輸入財のコスト上昇は消費者物価に影響を及ぼす一方、輸入財のコスト下落は影響を及ぼさない可能性が示唆された。
具体的なモデル式及び推計結果は以下のとおり。