第1章 感染症の危機から立ち上がる日本経済

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2020年の我が国は、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)の世界的流行(パンデミック)による大幅な下押しと、感染防止を図りながら社会経済活動の水準を引き上げるという未曾有の経験をした。年後半に向けて、経済の稼働水準は次第に高まったものの、気温の低下とともに新規感染者数が再び増加に転じたことから、社会経済活動の抑制を求めることになった1

第1章では、こうした2020年後半から2021年初頭までの期間を中心に、我が国経済の現状について概観する。まず第1節では、GDPなどの集計データを基にマクロ的なすう勢と変動を確認する。第2節では、人為的に需要水準が下押しされている状況を踏まえ、賃金や物価、金融市場の動向等を確認しながらデフレリスクの検証を行う。第3節では、感染症の影響下にある対外経済の課題として、グローバル・バリュー・チェーンの現状、為替変動の影響、エネルギー輸入の動向について取り上げる。


1 2020年9月以降における我が国の新規感染者数は落ち着きをみせていたが、11月後半以降は再び増加に転じ、11月18日には、1日の新規感染者数が初めて2,000人を上回った。こうした動きを踏まえ、各都道府県は、独自に営業時間短縮や外出自粛を要請したが、新規感染者数は増加を続け、12月31日には4,485人と2020年の最多を記録した。
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