付注2-1 雇用保蔵者数の推計について

1 概要

雇用保蔵者数について、適正な労働生産性及び平均的な労働時間を回帰分析によって推計し、これらと雇用指数から雇用保蔵率を求め、雇用保蔵率に実際の労働者数を掛け合わせることで推計。なお、非製造業の稼働率については、公表値が存在しないため、別途推計を行った。

2 データ

総務省「労働力調査」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」、経済産業省「鉱工業指数」、経済産業省「第3次産業活動指数」、内閣府「国民経済計算」

3 推計方法

①非製造業の稼働率の推計

非製造業については、稼働率のデータがないことから、以下の方法で試算した。第3次産業活動指数(原指数)のある時点の指数値の前後6か月の最大値をその時点のピーク値と定義し、ウォートン・スクール法(過去における活動量のピークを設備や労働力が完全に活用されている時点と仮定し、ピークとピークを直線で結び、その線上の値を活動能力と見なす手法)を用い、暫定活動能力を算出した。しかしながら、暫定活動能力では、直近のピーク以降の動向が把握できないため、関連指標等を説明変数として回帰分析を行い、活動能力の推計を行った。なお、推計期間にいては、業種ごとのデータ利用可能性、推計結果の理論的妥当性を踏まえて設定している。

付注2-1 数式を画像化したもの

さらに、第3次産業活動指数(季節調整値)を、算出した活動能力で除し、2015年を100として、稼働率を指数化した。

②適正労働生産性の推計

稼働率及びタイムトレンドを説明変数とする以下の回帰式により、労働生産性を推計した。このうち、日銀短観の雇用人員判断DIがゼロであった2012年の稼働率を代入したものを、適性労働生産性とした。なお、全産業の稼働率は製造業のもので代用した。

付注2-1 数式を画像化したもの

③平均労働時間の推計

タイムトレンドを説明変数とする以下の回帰式により、平均労働時間(H*)を推計した。

付注2-1 数式を画像化したもの

④雇用保蔵者数の算出

以下の式により雇用保蔵率を算出し、これに労働力調査の雇用者数(製造業、非製造業は内閣府季節調整値)を乗ずることにより、全産業及び製造業の雇用保蔵者数を算出した。2002年第I期~2012年第IV期の非製造業の雇用保蔵者数は、全産業と製造業の差分で求めた。また、2013年第I期~2020年第IV期の非製造業(その他)の雇用保蔵者数は、全産業から、非製造業(卸売業・小売業)、非製造業(宿泊業・飲食サービス業)、及び非製造業(生活関連サービス業・娯楽業)を差し引いて求めた。

付注2-1 数式を画像化したもの