付注2-2 世帯類型別の負担額及び受益額の試算について
社会保険における世帯類型別の給付と負担について、具体的なケースA~Dを設定し、各ケースにおける公的年金及び健康保険の負担額及び受益額を、以下のとおり算出した。
1 世帯類型について
世帯類型別の負担額及び受益額を比較するため、以下のA~Dのケースを設定した。収入については、賞与は無いものと仮定した。なお、ケースA、B、Cは世帯月収が同額、ケースBとDは夫の世帯月収が同額となるよう設定した。
ケースA:夫は国民年金第2号被保険者(月収40万円)
妻は国民年金第3号被保険者(月収0万円)の2人世帯
ケースB:夫は国民年金第2号被保険者(月収25万円)
妻は国民年金第2号被保険者(月収15万円)の2人世帯
ケースC:国民年金第2号被保険者(月収40万円)の単身世帯
ケースD:夫は国民年金第2号被保険者(月収25万円)
妻は国民年金第3号被保険者の(月収0万円)の2人世帯
2 公的年金の負担額及び受益額の試算方法
(1)公的年金の負担額
公的年金の負担額としては、厚生年金保険料を試算した。厚生年金保険料は、平成29年9月以降適用分の保険料率を使用した。
具体的には、日本年金機構で公表の厚生年金保険料額表を使用し、賞与は無いと仮定しているため、各ケースの構成員ごとに、月収に相当する標準報酬月額に対応する厚生年金保険料額(及び本人負担分である「折半額」)を負担額とし、端数を四捨五入して千円単位とした。世帯ごとの負担額は、構成員ごとの負担額を合計し、端数を四捨五入して千円単位とした。
(例) 月収40万円であれば標準報酬月額41万円となり、厚生年金保険料は75,030円(本人負担分37,515円)となる。千円単位で表示するので、負担額は75千円(本人負担分38千円)となる。
(2)公的年金の受益額
公的年金の受益額としては、65歳時点での月あたり給付額を試算した。ただし、繰上げ受給の場合や、受給開始年齢引上げに伴う一時的措置である「特別支給の老齢厚生年金」を受給する場合は考慮しない。
A~Dについて65歳時点で給付される公的年金は、
年金給付額=①老齢基礎年金+②老齢厚生年金
となっている。ただし、②に含まれる経過的加算や加給年金については、簡素化のため考慮していない。
① 老齢基礎年金については、2019年度の支給額である年額780,100円(月額65,008円)を用い、月あたり給付額は端数を四捨五入して65千円とした。
② 老齢厚生年金については、A~Dの構成員の月収が不変のまま厚生年金に480月(20~60歳の40年間)加入したと仮定し、以下の算式1で年間給付額を算出した。さらに当該金額を12月で割って月あたりの給付額を算出し、端数を四捨五入して千円単位とした。
(例) 月収40万円であれば標準報酬月額41万円となる。賞与はなく、月収も不変のため、平均標準報酬額は41万円となる。現時点での試算であるため2013年4月以降と仮定して480月加入した場合、
この場合、端数を四捨五入して千円単位として84千円となる。
以上の試算方法により、各ケースの構成員ごとに①と②を合計して公的年金の月あたり給付額を算出し、端数を四捨五入して千円単位とした。世帯ごとの給付額は、構成員ごとの給付額を合計し、端数を四捨五入して千円単位とした。
3 健康保険の負担額及び受益額の試算方法
(1)健康保険の負担額
健康保険料は、2019年4月以降適用分の全国健康保険協会管掌健康保険料額表(東京都)を使用した。具体的には、全国健康保険協会で公表の健康保険料額表を使用し、賞与は無いと仮定しているため、各ケースの構成員ごとに、月収に相当する標準報酬月額に対応する健康保険料4(及び本人負担分である「折半額」)を負担額とし、端数を四捨五入して千円単位とした。世帯ごとの負担額は、構成員ごとの負担額を合計し、端数を四捨五入して千円単位とした。
(例) 月収40万円であれば標準報酬月額41万円となり、健康保険料は40,590円(本人負担分20,295円)となる。千円単位で表示するので、負担額は41千円(本人負担分20千円)となる。
(2)健康保険の受益額
健康保険の受益額としては、一定の給付金が存在しないため、具体的な金額の試算は行わず、国民健康保険と異なり健康保険のみに存在する出産手当金や傷病手当金が受給可能かどうかの比較にとどめた。
4 試算結果
以上の方法に基づいて試算したところ、以下のような試算結果56となった。