第2章 企業ダイナミズムの向上に向けて
我が国が成長力の向上を図り、経済社会の活力を高めていくために、企業部門のダイナミズム1を高めることが重要となっている。その際、我が国における企業の9割、就業者の7割、そして企業部門で生み出される付加価値の5割を占めており、企業部門の大きなウェイトを担う中小企業の動向が注目される。
中小企業は、経済のサービス化が進む中、サービス分野での雇用の受け皿となり、また、製造業のサプライチェーンを支えるなど、我が国の経済活動において重要な役割を果たしている。その一方、大企業と比べ、収益や投資等の面で伸び悩みがみられており、その背景として企業部門におけるダイナミズムの遅れや生産性の低迷が指摘されてきた。
第2章では、我が国企業部門のダイナミズムを高めていくための課題について、特に中小企業の役割に着目して論じる。第1節では、中小企業の動向について、大企業や諸外国との比較を通じて分析するとともに、企業部門にみられるダイナミズムの遅れとその背景を検証する。その上で、第2節では、企業部門のダイナミズムの向上に向けた諸施策を検討する。また、成長力の向上に向け、ダイナミズムの向上と併せて重要となる、イノベーションやICT投資を始めとする中小企業の生産性向上策について検討する。