脚注12
本章では、「原材料価格高騰対応等緊急保証制度」(2008年)、「緊急保証制度」(2009年)及び「景気対応緊急保証制度」(2010年)をまとめて「緊急保証制度」という。「原材料価格高騰対応等緊急保証制度」は、業況の悪化している業種に属する中小企業を対象にしたセーフティネット保証を大幅に拡充し、2008年10月に創設された。原油・原材料価格の高騰やリーマンショックの影響を強く受け経営環境が悪化している中小企業を支援することを目的としており、指定業種を185業種から545業種へ拡大するとともに、売上高の減少等の要件に該当する中小企業者が民間金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会からの保証を一般保証とは別枠で100%保証を受けることを可能とした。なお、保証枠は当初6兆円であったが、平成20年度第二次補正予算を受け20兆円に拡大された。
その後、国際的な金融不安等を契機とした厳しい経済状況に置かれている中小企業の資金繰りを支援するため、2009年4月の「経済危機対策(平成21年度第一次補正予算)」を受け「原材料価格高騰対応等緊急保証制度」は「緊急保証制度」に名称変更され、保証枠を30兆円とする等の拡充が図られた。2010年2月には、「明日の安心と成長のための緊急経済対策(平成21年度第二次補正予算)」を受け、2010年3月末で期限切れを迎える予定であった「緊急保証制度」が「景気対応緊急保証制度」に名称変更され、原則全1,118業種の中小企業が対象とされるとともに、保証枠は36兆円まで拡充されることとなった。その後、2011年3月に「景気対応緊急保証制度」が終了し、また2012年11月には、緊急保証制度から引き続き実施されていたセーフティネット保証の対象指定業種が絞られるなど、金融支援策は徐々に縮小されてきている(岡田、2013)。