第2章 最近の物価動向を巡る論点
第1章では、最近の経済動向について振り返ったが、本章では、デフレ等の物価動向について考察する。まず、最近の物価動向を概観したのち、特にGDPデフレーターや単位労働費用(ULC:Unit Labor Cost)に着目して、名目付加価値が圧迫されるという「付加価値デフレ」の現状について分析する。「付加価値デフレ」の解消は企業経営、ひいては所得形成を中心とした日本経済の好循環実現のため重要であり、そのためには需要の創出や金融面の対応だけでなく交易条件を改善するための対応が求められることを述べる。