4 販売価格判断DIの先行きは、企業の販売価格変化の見込みを問うものであり、その見込みと価格変化の関係は常に一定とは限らない。つまり、企業は予想変化率がある閾値を超えた場合に物価が変化したと認識して回答すると考えられるが、多くの分析事例では、その際の閾値が物価の上昇又は下落に対して対称的であると仮定している。しかし、企業は必ずしも物価の上昇と下落を同程度に評価するとは限らず、局面によっては、対称性の仮定の下で求めた期待物価上昇率にバイアスが含まれていた可能性も否定できない。こうしたことから、今回は非対称な物価認識を想定した方法で計算している。詳細な算出方法については付注2-1を参照のこと。また、鎌田他(2010)では、閾値の対称性の仮定は維持し、短観の回答そのものにバイアスがある(例えば、「上昇」と認識している主体も調査には「不変」と回答しているなど)と仮定し、回答の分布を修正した上で企業の期待物価上昇率を求めている。