第2章 震災からの復興
2011年3月 11日に発生した東日本大震災は、日本経済全体に大きな影響を及ぼしたことは第1章でも指摘したが、とりわけ東北地方や北関東地方に大きな影響を及ぼした。これらの地域では、多数の死者や行方不明者が発生したのみならず、多くの企業が地震や津波の影響を直接に受け生産活動がストップし、農林水産業も大きな被害1を被った。その影響の大きさはこれまで我が国が経験した震災の中でも最大級のものであった。
本章では、今回の震災の特徴の一つである、被災地の工場の操業停止による日本国内全体の生産への影響、いわゆるサプライチェーン寸断の影響を分析するとともに、今後の予測を含めて、そのサプライチェーンがどのように再構築されるかを確認する。加えて、被災地における人々の生活、とりわけ雇用・所得環境や消費面で人々の生活がどのように被害を受け、また立ち直っているか確認する。また今後、被災地の復興が本格化するが、復興需要がどの程度発生するか推察する。その上で、今回のような大規模災害などのリスクにどのように立ち向かうべきかについて論じる。
1 東日本大震災により、約22,839億円の農林水産関係被害が発生した(2011年8月23日時点。農林水産省「東日本大震災による農林水産業への影響と対応」より)。