第3章 不透明感の高まる家計部門

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第2章では、急速に悪化しつつある企業部門の姿をみた。一方、家計部門をみると、雇用情勢が悪化しつつあり、所得面が弱含んでいるにもかかわらず、個人消費も住宅投資も、おおむね横ばい圏内で推移してきた。これが、景気の後退局面の中でも、全面的な底割れにまで至っていない要因でもある。今回の景気後退は、世界的な金融危機の深刻化、景気減速が進む中で生じており、最近の日本の回復のパターンであった外需主導型のシナリオが描けなくなっている。こうした中では、家計部門が安定した状態を保つことが重要である。しかしながら、2008年半ば以降、先行きの不透明感が高まる中で、弱い動きが見られてきており、個人消費や住宅投資が持ちこたえるか否かが、今後の景気動向を左右する可能性がある。

このような問題意識から、本章では、以下の事項を検討する。第1節では、景気後退下の個人消費の動向についてみる。消費者マインドが悪化し、所得が弱い中で、個人消費を支えている要因は何かについて調べる。第2節では、雇用・賃金について、今後の景気動向との関係の中で、現在の局面がどのように位置づけられるかを考える。第3節では、家計の住宅取得の動向について検討する。

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