「日本経済2007」刊行にあたって

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内閣府経済財政分析担当では、刻々と変化する経済の動きについてタイムリーな分析を行い、月例経済報告等に活かしています。こうした日頃の作業を基礎としながら、新たな分析も加えて、「年次経済財政報告」公表後の日本経済の現状についてまとまった分析を提供するために、2004年12月に新しいレポートシリーズ「日本経済」を創刊しました。

4年目となる今回の「日本経済2007」においては、最近の経済動向を概観するとともに、景気の今後の動向をみる上で重要と考えられるいくつかの論点を取り上げ、詳細な分析を行なっています。

第1章では、2007年の日本経済の動きを回顧しています。この一年を振り返ると、設備投資が一時的に減少したり、個人消費が横ばいとなるなど、弱い動きが交互に現れました。また、サブプライム住宅ローン問題を発端とする金融資本市場の変動、原油価格の高騰、制度要因による建設投資の落ち込みなど、景気に悪影響を及ぼしかねないショックが発生しました。こうした中で、景気がどのように推移したかを分析しています。

続く第2章では、様々なリスクに対する、企業、金融機関、家計の対応力を分析しています。2007年に発生したショックは日本経済の一部の分野に影響を及ぼしていますが、今後も新たなリスクに直面することが考えられます。様々な観点から、各部門の基礎体力を計測し、リスクに対する備えを点検しています。

第3章では、物価とマクロ的な需給の状況、景気循環メカニズムの点検を行い、景気回復の持続に向けた展望を探っています。物価が上昇に転じなかったのはなぜか、世界経済の連動性をどう評価するのか、在庫や設備投資の循環からみて現在どのような局面にあるのか、といった論点について検討しています。

日本経済は、輸出と生産が増加を続けており、景気回復を支える原動力は健在ですが、家計部門への波及が遅れるなど弱さも抱えています。日本経済を取り巻く様々なリスクに注意を払いながら、景気回復が家計部門へ着実に波及していくよう、引き続き適切な経済財政運営に努めていくことが重要です。

本報告書の分析が、日本経済の現状に関する認識を深め、その先行きを考える上での一助になれば幸いです。

平成19年12月

内閣府政策統括官
(経済財政分析担当)
齋藤 潤

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