第1節 量的緩和政策・ゼロ金利解除後の金融市場動向(49)
(49) 実際に観察される市場金利から先行きの政策金利の見通しに関する情報を抽出した結果については、幅をもって解釈する必要がある。例えば、ここで取りあげたOIS市場は拡大しつつあるが、いまだ市場規模は小さく参加者も限られている点に留意が必要である。一方で、OISは、政策金利である無担保コールレート(O/N)の予想を直接の取引対象としているため、市場の利上げ見通しを観察しやすい。これに対し、ユーロ円金先などのターム物レートを利用する場合、翌日物(O/N)レートとのスプレッドを特定する必要がある。さらに、より長期的な見通しを観察する場合、将来の不確実性に対するリスクプレミアムも考慮する必要もある。詳しくは日本銀行(2006)参照。ここではごく簡便にユーロ円金先(3ヶ月物)の原資産であるユーロ円TIBOR(3ヶ月物)と無担保コールレート(O/N)の現行の乖離水準(0.2%弱)をユーロ円金先とのスプレッドと仮定しリスクプレミアムを考慮しない形で政策金利の見通しをみた。