第2節 資金の流れからみた企業行動の変化とその背景(35)

(35) 仮に銀行依存度の高い日本型企業が株価の最大化以外にも従業員の雇用確保等の観点から規模の拡張を志向する傾向があるとすると、そうした企業は相対的に資本コストの安い負債を増やすことで資産規模の拡大を図る傾向がある可能性がある。前掲の米澤・土村(2003)では、1990年代のデータによる分析によると、銀行依存型の企業では、こうした規模拡大のインセンティブが強く、それが結果として過剰投資・過剰債務につながった可能性があることを示している。