第5章 地域別の人口・経済データ
コラム(人口・経済データで特徴のある市区町村)
【新潟県聖籠町】
経済指標を構成する要素の一つで、市区町村別に所在する事業所(製造業)における年間の製造品出荷額、加工賃収入額、その他収入額及び製造工程から出たくず及び廃物の出荷額の合計が製造品出荷額等である。工業統計調査(経済産業省)に基づき全国市区町村の製造品出荷額等を比較すると、1975年から2010年にかけて伸び率が最も高い町が新潟県聖籠町であり、1975年に8.2億円であったが、2010年には1438.1億円まで増加している。
聖籠町は新潟県の北部、飯豊連峰に源を発する加治川下流の海岸地帯に位置し、国際拠点湾港である新潟港(東港区)の中央水路を境界に新潟市と接している。総面積のうち新潟東港工業地帯が行政区の約25%を占めている。町村合併促進法により亀代村と合併、今の町の原形となる聖籠村が誕生し、1977年8月に町制が施行され、当時、新潟県で54番目の町となった。1970年代までは、農業が産業の中心であった。1969年の新潟東港開港宣言以来、新潟東港工業地帯への企業進出が相次ぎ、進出企業は100社を超えた。電気、ガスなどのインフラ関係から食品、化学、電子機器などの幅広い業種の企業が立地し、我が国の日本海側における工業拠点として発展を遂げてきた。また、新潟港(東港区)は、環日本海経済圏の対岸諸国や東南アジアなどとの貿易が活発となり、国際貿易港としての基盤も確立している。
農業は、水稲を基幹に果樹、野菜等との複合経営が主流となっている。聖籠町は「果樹の里」と呼ばれ、さくらんぼやぶどう等の果樹栽培が特に盛んであるが、農業従事者の高齢化と後継者不足から農家数は減少を続けており、担い手の確保・育成やさらなる経営の合理化・近代化などの対策が求められている。
2010年国勢調査における産業別就業者数及び構成比をみると、第一次産業639人(9.6%)、第二次産業2,382人(35.7%)、第三次産業3,658人(54.8%)であり、第二次産業の比率が高くなっている。
経済指標は1980年から2010年にかけて常に新潟県内で最も高くなっており、新潟県の中でも特に経済状態が良好な地域であるといえる。
白ぶどうの高級品種。酸味が控えめで、糖度が高くとても人気があります。
新潟港は、環日本海における国際物流拠点としての役割を果たし、背後の工業地帯には多様な産業が集積する。