第5章 地域別の人口・経済データ
コラム(人口・経済データで特徴のある市区町村)
【福島県檜枝岐村】
2010年における全国市区町村の人口密度をみると、最も高いのは東京都豊島区の21881.5人/km2で、次いで東京都中野区、荒川区と東京23区が続いている。一方、人口密度が低い自治体は福島県檜枝岐村が1.6人/km2と最も低く、北海道幌加内町が2.2人/km2、北海道占冠村が2.4人/km2と続いている。
福島県檜枝岐村は県の西南端に位置し、東西24km南北34.5kmに及び、東は南会津町(旧舘岩村)に、南東は帝釈山、黒岩山等の山岳を挟んで群馬県片品村に、西は只見川を県境として新潟県魚沼市(旧湯之谷村)に、北は只見町及び南会津町(旧伊南村)に接している。
村の約98%を林野が占めており、役場所在地の標高は939m、東北最高峰の燧ケ岳や会津駒ケ岳等2,000m級の山々に囲まれた山村である。
平均気温は8℃と低く、平均降水量は1,500mmを超え、最深積雪量は例年200cm前後、多い年は300cmを超えることもある豪雪地帯で、根雪日数は年間140日にも及ぶ。
檜枝岐村の人口は1960年の983人をピークに減少傾向にあり、1980年765人、1990年702人、2000年757人、2010年636人と推移している。また、急激な高齢化も進んでおり、1980年10.8%、1990年16.2%、2000年23.3%、2010年33.4%と推移している。
面積の大部分を林野が占める檜枝岐村は、かつて林業が主な産業であったが、時代とともに衰退し、また、県内で唯一米ができない高冷地であるため、農業は昔から自家消費用の野菜や雑穀等の栽培のみにとどまっている。
第2次産業、第3次産業については、立地条件から民間企業の誘致はほぼ可能性がなく、個人経営の観光関連業がほとんどを占め、1970年代頃から観光業が村の主産業となった。以降、尾瀬や温泉を目的に訪れる観光客の増加により観光関連産業が発展し、第三次産業就業人口は2010年国勢調査では93.4%となっている。
商業は、観光客の増加に伴って土産品等の売上が増加し、旅館・民宿等のサービス業の売上も年々伸びていき、さらにアウトドアブームによりキャンプの観光客が増えたことも売上増の一因となったが、近年の全体的な観光客の減少により商業にも深刻な影を落としている。
尾瀬国立公園にある日本百名山の燧ケ岳と尾瀬沼。燧ケ岳は東北以北で最も高い山である。
阿賀川水系の檜枝岐川。渓流釣りのメッカとして知られており、良質の岩魚が生息している。