自衛隊法の再就職等規制の概要
自衛隊法に規定する再就職等規制は、
1 他の隊員・元隊員の再就職依頼・情報提供等規制
2 現職隊員による利害関係企業等への求職活動規制
3 再就職者(元隊員)による元の職場への働きかけ規制
の3つの規制があります。
※ 自衛隊員のうち、一般定年等隊員(事務官等及び将官など)は委員会の監視対象となります。若年定年等隊員(若年定年制自衛官(将官を除く)、任期制自衛官、再任用の任期満了が一般職国家公務員の定年年齢に満たない自衛官)は防衛省に置かれる防衛人事審議会(以下「審議会」)再就職等監視分科会の監視対象となります。
1 他の隊員・元隊員の再就職依頼・情報提供等規制(自衛隊法第65条の2)
隊員が、営利企業及び営利企業以外の法人(以下「営利企業等」という。)に対し、
- 他の隊員又は隊員であった者(以下「隊員等」という。)を、当該営利企業等又はその子法人に再就職させることを目的として、
ア) 当該隊員等に関する情報を提供すること
イ) 再就職させようとする地位に関する情報提供を依頼すること - 他の隊員等を、当該営利企業等又はその子法人に再就職させるよう要求又は依頼すること
は禁止されています。
規制の例外
- 防衛大臣が指定する隊員が若年定年等隊員に対する就職の援助を行う場合
- 独立行政法人、特殊法人等に現役出向させる場合
2 現職隊員による利害関係企業等への求職活動規制(自衛隊法第65条の3)
隊員が利害関係企業等に対し、
- 離職後に当該利害関係企業等又はその子法人に再就職することを目的として、
ア) 自己に関する情報を提供すること
イ) 再就職しようとする地位に関する情報の提供を依頼すること - 再就職することを要求又は約束すること
は禁止されています。
利害関係企業等の定義
隊員が職務として携わる事務の相手方のうち、1から6のいずれかに該当する営利企業等をいう。
- 許認可等を受けて事業を行い、又は行おうとしている営利企業等
- 補助金等の交付を受けて交付対象事業を行い、又は行おうとしている営利企業等
- 不利益処分をする場合の名あて人となるべき営利企業等
- 法令の規定に基づく行政指導を現に受けている営利企業等
- 防衛省と一定の契約を締結し、又は契約の申込みをしようとしている営利企業等
- 犯罪の捜査を受けている者である営利企業等
規制の例外
- 独立行政法人、特殊法人等に現役出向する隊員が当該法人に対して行う場合
- 防衛省本省係長級以下の隊員(自衛隊員倫理法第2条第2項各号に掲げる本省部員級以上の隊員以外の隊員)が行う場合
- 一般定年等隊員が官民人材交流センターから紹介された利害関係企業等との間で行う場合
- 公務の公正性の確保に支障が生じない場合(当該許認可等事務について当該隊員の裁量の余地が少ない等)として、一般定年等隊員については委員会(再就職等監察官)の承認を得た場合(若年定年等隊員については防衛大臣の承認を得た場合)
3 再就職者(元隊員)による元の職場への働きかけ規制(自衛隊法第65条の4)
- 離職後に営利企業等の地位に就いている再就職者(元隊員)が、
- 離職後2年間、
- 自らが離職前5年間に在職していた局等に現在所属している隊員に対し、
- 当該営利企業等又はその子法人を相手方とする契約又は処分であって離職前5年間(これより以前に課長級以上のポストに就いていた場合は、当該期間を含む。)に担当していた職務(局長級以上のポストに就いていた場合は、防衛省の所掌事務全体)に属するものに関して、
なお、在職中に自らが決定した契約又は処分であって当該営利企業等を相手方とするものに関して、防衛省の隊員に対し、職務上の行為をするように又はしないように要求又は依頼することは、期限の定めなく禁止されています。 - 再就職者(元隊員)から違法な働きかけを受けた隊員は、当該再就職者が離職の際に一般定年等隊員であった場合には委員会の再就職等監察官に(当該再就職者が離職の際に若年定年等隊員であった場合には防衛大臣に)その旨の届出をしなければなりません。
規制の例外
- 防衛省から委託を受けて行う当該委託に係るものを遂行するために必要な場合、国の事務と密接な関係を有する業務を行うために必要な場合
- 法令や防衛省との契約に基づく権利の行使、義務の履行の場合
- 法令に基づく申請又は届出を行う場合
- 一般競争入札等による契約締結に必要な場合
- 公開情報の提供を求める場合
- 電気、ガス、水道に関する契約等裁量の余地が少ない職務に関するもので、公務の公正性を損ねるおそれがないものとして、離職の際に一般定年等隊員であった再就職者は委員会(再就職等監察官)(離職の際に若年定年等隊員であった再就職者は防衛大臣)の承認を得た場合