第1章 マクロ経済の動向と課題 第1節

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第1節 実体経済の動向

本節では、2022年夏以降、ウィズコロナからコロナ禍後へと移行する中での経済活動の変化について、第1項でマクロ経済状況を概観した後、第2項では家計部門について、形態別の消費やその背景にある所得の動向を、春闘の結果なども踏まえつつ確認する。第3項では生産・在庫の動向と企業部門の収益の状況、それらを踏まえた中長期的な投資動向、第4項では海外部門の動向として経常収支と輸出入について分析する。

1 景気回復の状況

最初に、ウィズコロナからコロナ禍後に向けた感染症への政策対応の変化、半導体市況の悪化、世界的な物価上昇下での急速な金融引締めの進展等、内外の経済環境が大きく変化する中での、今般の景気回復の特徴を確認する。

物価上昇下において、サービス消費を中心に緩やかに持ち直し

2022年度以降の我が国経済を振り返ると、名目GDPは、2022年7-9月期に輸入物価の上昇等による輸入の急増を受け前期比で減少した他は増加を続け、2023年4-6月期に591兆円と過去最大となった(第1-1-1図(1))。また、実質GDPについても、消費や設備投資デフレーターの上昇により下押しされたものの、緩やかな回復を続け、過去最大となっている(第1-1-1図(2))。

実質GDPの内訳をみると、個人消費は、経済社会活動の正常化が進み、旅行・外食等のサービス消費の回復が続き、2022年半ばにかけて衣料品等の半耐久財支出も増加した。2022年度後半には、供給制約の緩和に伴い自動車を中心として耐久財支出が回復するなど、消費は全体として回復してきた。2023年4-6月期は、非耐久財や耐久財が前期比マイナスとなったものの、実質総雇用者所得に持ち直しの動きがみられる中、対面型サービスの回復が続き、基調として個人消費は持ち直している(第1-1-1図(3)(4)(5))。設備投資は、企業の好調な収益や積極的な投資意欲に支えられ持ち直し基調にあり、住宅投資は底堅く推移している(第1-1-1図(6)(7))。また、公需は、2021年度補正予算や2022年度第二次補正予算の執行が進んだことなどにより、5四半期連続で増加している(第1-1-1図(8))。

外需は2022年度を通じてマイナスに寄与してきた。輸出をみると、世界的な物価上昇の長期化や半導体市況の悪化、中国の年末年始の感染再拡大とその後の回復ペースの緩慢さ、世界的な金融引締めなどを背景に、2022年内の財輸出の増加は緩やかなペースに止まり、2023年1-3月期に減少した。4-6月期には、自動車輸出の持ち直しにより財輸出が増加に転じるとともに、段階的な水際対策の緩和によって訪日外国人の消費が増加したことからサービス輸出も増加し、輸入の減少と相まって外需はプラスに寄与している(第1-1-1図(9))。主要品目別に財輸出の動向をみると、多くの品目で2022年後半以降弱い動きが続いていたが、2023年に入り、電気機器が下げ止まり、輸送用機械は供給制約の緩和によって増加するなど、全体として下げ止まった後、底堅い動きとなっている(第1-1-1図(10))。輸入は、2022年後半は弱い動きとなっていたが、2023年に電気機器の輸入が持ち直すことなどにより、全体として下げ止まっている(第1-1-1図(11))。

感染症の5類移行に伴い、経済社会はウィズコロナからコロナ禍後へと移行

このように、この1年間の我が国経済はサービス消費やサービス輸出、コロナ禍で先送りされてきた投資の回復など、ウィズコロナの下での感染症対策の段階的な緩和による経済社会活動の正常化に支えられてきた。

特に、感染状況と対面型サービス消費の関係をみると、ウィズコロナの下で感染状況の消費への影響は小さくなっている。感染症による重症者数を横軸に、外食、宿泊、交通、旅行、娯楽消費合計の2019年比を縦軸にとると、2022年夏以降両者の関係は上方にシフトし、2023年以降は2019年からおおむね10%程度低い水準まで戻ったところで安定的に推移している(第1-1-2図(1))。

また、対面型サービス業の労働者の労働時間も、コロナ禍で大きく落ち込んでいたところから回復し、相対的に影響の小さかった製造業と比較しても、コロナ禍前からの減少幅は2022年度の後半には同程度となっている。こうした減少は働き方改革等の影響もあると考えられるが、対面型サービス業の活動がコロナ禍前に近づいてきている様子がわかる(第1-1-2図(2))。

こうした中、2023年3月13日のマスク着用の考え方の見直しに続く5月8日の感染症の5類移行によって、家計・企業に対する政府の行動制限を行う法的根拠がなくなったことで、我が国もコロナ禍後の経済社会へと本格的に移行し、自律的な回復への制約がなくなったと言えよう(第1-1-2図(3))。感染症に係る規制の緩和は、街角の景況感も改善させてきた。景気ウォッチャー調査によると、「5類」や「マスク」について言及した人の景況感の先行き判断DIは、5月調査時点で全体よりもそれぞれ12.7ポイント、20.2ポイント高く、こうした景況感の改善が景気回復を牽引することが期待される(第1-1-2図(4))。

テレワークの定着によりサービス消費の行動が変化する一方、製造業は景況感が改善

経済社会活動の正常化が進む中で、2022年の回復をけん引してきた要因のひとつである国内旅行は、全国旅行支援の効果もありコロナ禍前の水準を回復した後、高水準で推移している(第1-1-3図(1))。目的別に旅行消費額をみると、観光・レクリエーションはコロナ禍前を超える水準となっているが、出張・業務は回復しているもののコロナ禍前を下回って推移している(第1-1-3図(2))。大手民間鉄道会社16社の2022年の輸送人員をみても、定期券以外の利用が2019年比89%まで回復した一方、定期券利用分は2019年比80%にとどまっており、テレワークの普及・定着がこうした動向に影響を与えていると考えられる(第1-1-3図(3))。地域別のテレワーク導入状況をみると、南関東、近畿ともに2019年と比べ2020年に大きくテレワーク率が高まり、2022年もその傾向は継続している(第1-1-3図(4))。2023年以降までのテレワーク実施率を東京都内の企業でみると、感染拡大直後から2022年初までは60%を超える水準で推移した後徐々に低下しているものの、2023年6月は44%とコロナ禍前の水準を大きく超えて推移している(第1-1-3図(5))。また、休日の外食消費はほぼコロナ禍前水準を回復しているが、平日の外食消費はコロナ禍前を4.4%下回っており、テレワークの定着は外食にも影響を与えている可能性がある(第1-1-3図(6))。このように、サービス消費は全体としてコロナ禍前水準を取り戻しつつあるが、一部で構造的な下押し圧力が残る可能性がある2。他方、自宅で過ごす時間が長くなることで、自宅で楽しめる娯楽であるコンテンツ配信サービス需要の増加傾向が顕著となっている(第1-1-3図(7))。こうした需要の変化に伴い、新たな成長分野へ、円滑に労働者が移動できるよう、リ・スキリングの支援等がコロナ禍後の経済社会の構築に向けて、これまで以上に重要となる。

次に、製造業をみると、景況感が2022年は物価上昇や世界的な需要の鈍化によって下押しされてきたが、2023年に入り改善し始めている(第1-1-3図(8))。その背景としては、車載用半導体等の部材供給不足の緩和により自動車の生産が増加し、これに伴い国内の新車販売や輸出が増加してきたことや、輸入物価の上昇が2022年秋以降落ち着きを取り戻し、企業間の財の取引価格である国内企業物価が下落し始める中で、製造業を中心に仕入価格の上昇が一服していることが挙げられ、こうした動きは当面続くことが期待される(第1-1-3図(9))。

また、春闘の結果も消費を中心として景気回復を後押しすることが期待される。日本労働組合総連合会(以下「連合」という。)の集計結果によると、2023年度の賃上げ率は3.58%と30年ぶりの高水準となった(第1-1-3図(10))。今後、労働者一人当たりの賃金上昇の継続によって消費者の購買力の上昇期待が高まり、消費支出が増加することが期待される。

コラム1-1 高頻度データ(オルタナティブデータ)を活用したマクロ消費動向の把握

感染症拡大以降、公的統計よりも早期に消費動向を把握する手段として、オルタナティブデータ3が内閣府など公的セクターの景気判断の現場で積極的に活用されている。特に、クレジットカードデータに基づく支出額の動向は、利用費目別などでも把握することができることに加え、一定程度マクロ消費統計と整合的な動きをすることが知られている。

このコラムでは、クレジットカードの支出額データであるJCB消費NOWについて、マクロ消費統計の動きとの整合性を確認した上で、クレジットカードデータ特有のバイアスが存在する財・サービス別のデータについて補正することで精度の向上を試みたい4

代表的なマクロ消費統計として、総務省「総消費動向指数(CTIマクロ)」や日本銀行「消費活動指数」が挙げられるが、これらとJCB消費NOWとの消費支出全体の動き(名目)を比較すると、相関係数は0.9を超えるほか、平方根平均二乗誤差(Root Mean Squared Error。以下「RMSE」という。)も1%ポイント台後半から2%ポイント台にとどまる5など、マクロ消費統計の動きを捕捉できている(コラム1-1図(1))。

他方、財・サービス別にJCB消費NOWの動きを消費活動指数と比較すると、消費支出全体の場合と異なり、財は相関係数が低く消費活動指数の動きとのかい離が目立った。サービスについては、相関係数は高かったが、RMSEが高い点に課題がある(コラム1-1図(2))。

まず、サービスについては、RMSEの高さの背景にある振れの大きさに対処するため、消費活動指数のサービスの前月比にJCB消費NOWのサービスの前月比を回帰して得られる係数を基に、変動幅の調整を行った結果、RMSEは大きく抑制された(コラム1-1図(3))。

財については、相関係数を高めるための補正が必要となる。具体的には、JCB消費NOWの財系列を構成する個別系列の一部を、POSデータや業界統計等で代替することで補正を試みた。利用可能な代替系列にJCB消費NOWのウェイトを用いて加重平均し直した補正済の財系列と消費活動指数との比較をすると、公表系列から大幅に整合性が高まったことが確認できる。なお、ここで使用した代替系列は、いずれもJCB消費NOWの月次データよりも早く公表されるため、速報性は維持される(コラム1-1図(4))。

ここまで確認してきたように、JCB消費NOWがクレジットカードデータであることのバイアスを考慮して補正することで、速報性を維持したまま、精度の改善が可能となる6。景気判断や政策立案に当たっては、こうした指標の積極的な開発・活用が今後ますます重要となっていくと考えられる。

2 家計部門の動向

本項では、マクロの所得や金融資産の水準から見込まれる消費水準からみた現在の消費の動向を確認した後、耐久財消費や世帯の収入別の実質消費の動向を分析する。また、消費の背景となる雇用・所得環境について、春闘や労働需給の動向を整理する。最後に、家計部門が全体の約8割を占める住宅投資7の動向と展望を整理する。

所得や金融資産に比して低水準だった消費は、経済社会活動の正常化の下で徐々に改善

まず、2020年の感染拡大以降のマクロの消費水準を、消費関数を推計することで確認してみよう。実質消費支出を被説明変数、家計の実質所得、金融資産残高及び高齢化率を説明変数とした消費関数8を推計すると、所得、金融資産残高及び高齢化率の係数はいずれも1%有意水準を満たし、所得の弾性値は正(0.88)、金融資産残高の弾性値は正(0.11)と符号はそれぞれ予期された結果となった(第1-1-4図(1))。2020年以降、断続的に経済社会活動が抑制される中で可処分所得や金融資産残高等で説明できない動きがみられることから、コロナ禍前までを推計期間とした推計結果とコロナ禍前までの実績とを比べると、おおむね実際の動きを捉えていることがわかる(第1-1-4図(2))。その上で、感染拡大以降の消費水準を上記の回帰分析から示唆される消費水準と比較すると、2020年第1-3月期以降、実際の消費額は示唆される水準を大きく下回って推移している。これは感染症対応に加え、ウィズコロナの下でサービス消費が持ち直す一方で、物価上昇や巣ごもり需要の反動、自動車の生産回復の遅れ等によるものと考えられる。しかし、先行きを展望すると、輸入物価上昇による消費者物価の上昇圧力が夏以降剥落する中で落ち着き始めると考えられること、感染症の5類移行によってマインドが改善していることや新車販売の回復継続が期待されること等を踏まえると、可処分所得や金融資産等から示唆される消費水準へと戻っていく中で、賃上げ気運と相まって消費は増加傾向が続くと期待される。

買い替えサイクルによって当面、家電販売は抑制されるが、新車販売は持ち直し

財消費の先行きをみるため、このところの耐久財消費の動向を詳細に分析してみよう。商業動態統計の機械器具小売業の販売額をみると、2019年10月の消費税率引上げ前の駆け込み需要、2020年度前半の感染拡大による在宅時間の長期化に伴うエアコンや洗濯機、冷蔵庫、テレビなどの巣ごもり需要やテレワーク需要で、それぞれ需要の山が生まれている。しかし、その後は徐々に売上げが低下し、2023年6月の販売額は消費税率引上げ直後の2019年10月とほぼ同水準となっている(第1-1-5図(1))。

主要な家電の買い替え年数の分布は、テレビは5~8年程度、冷蔵庫やエアコンは10年程度にそれぞれ大きな山があるとされており9、2023年6月現在、2019年の消費税率引上げから3年半、2020年春以降の巣ごもり需要からは3年弱しか経過していないため、こうした時期に家電を購入した家庭では、買い替え時期を迎えていない可能性がある。そこで、家電販売額をテレビや携帯電話等が含まれる2~9年程度の短期のサイクルと、エアコンや冷蔵庫等が含まれる9~14年程度の長期のサイクル要因に分解すると、短期・長期いずれのサイクルも2020年の感染症拡大後に大きな山を作った後下落している(第1-1-5図(2))。2023年6月現在、いずれのサイクルも底を打っておらず、ストック調整の面からは、耐久財消費の弱い動きは当面続く可能性がある。

一方、自動車販売の動向は家電とは異なっている。2021年秋以降、新車販売台数は部材供給不足による生産の停滞により受注から納車までの期間が長期化することで伸び悩み、乗用車の買い替えタイミングとされる7年目(84カ月)車検を超えている台数が増加してきた(第1-1-5図(3))。2023年に入り、供給制約が徐々に緩和されることで販売台数が持ち直してきているが、買い替え時期を迎えている台数が高水準で推移していることから、引き続き買い替え需要は強い状態で推移することが見込まれる。

次に、耐久財消費の動向に物価上昇が影響を与えているかみてみよう。耐久財のように買い時を一定程度待つことができる財については、消費者は物価上昇局面では、購入を先送りする可能性がある。そこで、耐久財の実質消費を実質可処分所得、耐久財と家計消費全体の相対価格で重回帰して価格弾力性をみると、想定どおり価格弾力的であることが確認できる(第1-1-5図(4))。消費者物価指数の家電品目の前年比は、2023年6月で9.9%上昇と高い水準となっており、家電消費に物価上昇も影響している可能性がある(第1-1-5図(5))。今後、家電については、輸入物価の下落に伴い物価上昇圧力は一服する可能性があるが、当面は買い替え時期を迎えない家庭が多いことから弱い動きが続くと考えられる。一方、新車販売については供給制約の緩和に伴う受注残の解消と買い替えのタイミングが重なり、回復傾向が続くことが期待される。

物価上昇下において特に低収入世帯が消費を抑制

次に、物価上昇下での消費支出の特徴を捉えるため、家計調査の「基礎的支出」と「選択的支出」の区分に着目し、<1>基礎的財(食料)、<2>日用品や医薬品、光熱費等を含む基礎的財(食料以外)、<3>家賃や家事サービス、保健医療サービス等を含む基礎的サービス、<4>衣服や家具・家電、自動車等を含む選択的財、<5>外食や交通、教養娯楽サービスを含む選択的サービスに分類10した上で、高収入世帯と低収入世帯の消費動向を比較する。

まず、実質消費支出全体について、2021年度から2022年度の変化をみると、低収入世帯では低下、高収入世帯ではほぼ横ばいで推移している(第1-1-6図(1))。内訳を確認すると基礎的財(食料)はいずれの収入階層でも減少している(第1-1-6図(2))。これは、食料品価格の顕著な上昇を受け、プライベートブランドなどのより安い商品を購入することで節約している可能性があり、実質消費は品目とウェイトが固定されている消費者物価指数で割り引かれた水準ほど低くない可能性もある。データの制約から購買単価を収入区分別に分けてみることはできないが、スーパーのPOSデータを用いて、今次物価上昇局面における消費者の実際の食料品の購買単価をみると、消費者物価指数よりも低い上昇率で推移している(第1-1-6図(3))。基礎的財(食料以外)はいずれの収入階層でもおおむね横ばい、基礎的サービスは高収入世帯では横ばいで推移する一方低収入世帯で増加、選択的サービスはウィズコロナが進む下でいずれの収入階層でも支出が増加している。特徴的な動きをしているのが選択的財であり、高収入世帯は2021年度から2022年度にかけて支出額を増やしているが、低収入世帯で支出の抑制が顕著となっている。耐久財を含む選択的財は、先述の推計結果を踏まえると所得弾力的であると考えられ、物価上昇下で実質所得低下の影響が大きい低収入世帯で、消費が相対的に大きく抑制された可能性がある(第1-1-6図(4))。消費の持続的な回復に向け、特に低収入世帯の所得が改善することが鍵となっている。このためには、中小企業等における適切な価格転嫁を通じた継続的な賃上げ、最低賃金の引上げ及びそれに向けた環境整備や非正規雇用者の正規化や処遇改善が重要となる。

可処分所得の増加は、女性正規雇用と高齢者雇用の雇用者報酬増が大半

これまでみてきたように、物価上昇による食料品等の生活必需品における節約志向や、耐久消費財の買い替えタイミングなどが消費動向に影響を与えているが、中長期的には、先述の消費関数の推計結果にみられるように、可処分所得の動向が重要である。可処分所得は、雇用者報酬が感染拡大直後に減少したものの、賃金が上昇する中で基調的に増加していることに加え、累次の対策によって措置された各種の給付金等によって増加してきた(第1-1-7図(1))。社会保険料や所得税は、可処分所得を減少させる方向に寄与するが、これは主に雇用者報酬の増加に伴うものである。可処分所得の増減は雇用者報酬の影響を強く受けることから、以下、雇用者報酬の動向と増加に向けた課題をみていく。

GDP統計上の雇用者報酬は賃金・俸給、雇用者が支払う社会保険料負担や退職一時金などを含む雇主の社会負担からなるが、8割以上が賃金・俸給である。賃金・俸給は総雇用者所得に近い概念11であるため、寄与度分解が可能な総雇用者所得の動向を分析する。

総雇用者所得は雇用者数に現金給与総額(雇用者一人当たりの平均賃金)を乗じたものであり、現金給与総額は基本給である所定内給与、残業等に伴い発生する所定外給与、ボーナス等からなる特別給与の合計である。そこで、2013年からコロナ禍前の2019年までの総雇用者所得の変動をこれらの動向によって確認すると、所定内給与や特別給与が増加することで現金給与総額は緩やかに増加しつつも、女性や高齢者の労働参加が進むことによる雇用者数の増加が大きく寄与してきた。一方、感染拡大後は、総雇用者所得は一度落ち込んだ後、雇用者数の増加に加え、現金給与総額の増加が寄与して、再び増加している(第1-1-7図(2))。

次に、総雇用者所得の変動を性別、雇用形態別に雇用者数の増減と賃金変化に分解すると、2013年以降22年までの累積寄与をみると、女性正規雇用の労働者数の増加と賃金の上昇が共に大きく寄与し、総雇用者所得の増加の約半分を占めるなど、女性の正規雇用としての労働参加が家計の所得増を支えてきたことがわかる(第1-1-7図(3))。第2章で詳述するが、男女間の正規雇用比率や賃金には依然として差がみられる中、男女間の賃金格差の是正や、女性が正規雇用として就労することを促進する柔軟な雇用制度の充実、男性育休の取得増加や長時間労働の是正等、働き方改革の一層の進展が期待される。

また、高齢者の就業率も、2020年の感染拡大以降、上昇ペースが鈍化しているものの、コロナ禍前は高齢者の就業率上昇が全体の就業率上昇に大きく寄与してきたことがわかる(第1-1-7図(4))。コロナ禍以降、感染拡大による一時的な落ち込みに加え、団塊の世代が70歳以上となることで65歳以上の就業率は伸び悩んでいるが、69歳以下の就業率は引き続き高まっており、高齢者全体の就業率も再び上昇基調に戻ることが期待される。そのため、引き続き高齢者が活躍しやすい環境を整備していくことが重要となる。

30年ぶりの賃上げから一般労働者の所定内給与増が期待

雇用者数の増加以外でも、賃金上昇を通じた所得増加が期待される。足下では失業率が2%半ば、有効求人倍率も1.3倍を超える水準で推移するなど、労働需給は引き締まっている(第1-1-8図(1))。人手不足の環境下では、企業は人材を確保するため、賃金を含む労働環境を改善するインセンティブを高める。こうした中、物価上昇と相まって、2023年の春闘では、連合による集計では定期昇給相当込み賃上げ計は3.58%と30年ぶりの伸びとなり、賃上げ(ベア)分が明確に分かる労働組合の賃上げ分をみると、2.12%と集計を開始した2015年以降で最も高い伸びとなっている。春闘の賃上げ率の集計対象は労働組合に所属している正規雇用の所定内給与が中心であり、ボーナスや残業代は含まれていない。そこで、春闘賃上げ率に比較的近い概念である毎月勤労統計の一般労働者の所定内給与と比較してみると、強い相関関係が確認できる(第1-1-8図(2))。連合の集計結果は定期昇給も含むベースであることに加え、毎月勤労統計の調査対象には、労働組合を組織していない事業所があること、所定内給与の変動には労働移動による賃金の増減、初任給の変更等、春闘の賃上げ率とは異なる要素も含まれることから必ずしも一対一対応はしないが、2023年度の一般労働者の所定内給与は、前年度比で高い上昇となることが期待される。

パートタイム労働者については、時給が労働需給と感応的であるとされる。そのため、労働需給の程度を示す指標として、パートタイム労働者の有効求人倍率を横軸に、時給の伸びを縦軸にとると一定の相関関係が確認されるなど、人手不足が続く中で、パートタイム労働者の時給も上昇が続くことが期待される(第1-1-8図(3))。このように、当面は一般労働者の高い賃上げ率や、人手不足によるパートタイム労働者の時給の上昇によって、雇用者報酬は増加していくことが期待される。

コロナ禍後の経済社会において、消費の増加を実現するためには、雇用者報酬の増加を通じた可処分所得の増加が欠かせない。雇用者報酬の継続的な増加には、上述の取組に加え、生産性上昇に向けた企業の取組の支援や、企業が賃上げ原資を確保できるよう労務費用を含む適切な価格転嫁の推進、最低賃金の継続的な引上げ及びそれに向けた環境整備などが重要となってくる。

住宅関連の資材価格が高騰し、取得能力が低下

ここまで家計の消費とその背景にある雇用・所得環境をみてきたが、続いて住宅投資の動向を確認する。住宅投資も、消費同様、物価上昇の影響を受けていると考えられる。そこで、まず住宅建設・販売に関する価格動向を確認する。住宅投資デフレーターの動向をみると、2021年入り後2021年7-9月期にかけて上昇し、2022年以降ペースは緩やかになり、2023年1-3月期には前期から下落した(第1-1-9図(1))。その背景をみるため、国民経済計算の住宅投資デフレーターの推計方法を参考に、国内企業物価指数と企業向けサービス価格指数のうち、住宅投資関連の価格を産業連関表の部門別に加重平均し、前年比上昇率の寄与度を推計した。その結果を見ると、2021年10月にかけて、アメリカでの住宅需要の過熱を背景としたいわゆるウッドショックによる木材等の輸入価格上昇を受けて木製品を中心に価格が上昇した後、木製品の上昇率は低下し、2022年終わりには前年比下落に転じている。一方、木製品以外の品目は2022年終わりにかけて上昇率を高め、2023年に入ってようやく上昇率を低下させている(第1-1-9図(2))。このため、木造住宅のコストは低下し始めているが、非木造住宅のコストは引き続き上昇している。そこで、木造住宅の建築費指数をみると、マンション等の非木造住宅が含まれる住宅投資デフレーターと比べ、ウッドショックの影響が強く表れることから、2021年半ばからの上昇はより急速なものとなり、2023年1-3月期になってようやく上昇が止まりつつある。建築コストの上昇は販売価格にも影響を与えている。戸建住宅の不動産価格指数をみると、コロナ禍で一時的に需要が減少した2020年7-9月期を底に上昇に転じた不動産価格は、戸建住宅の約9割が木造建築を占めることもあり、木造住宅の建築費指数に近い高い上昇となるなど、戸建住宅の購入を検討している家計にとって負担増となっていることがわかる。

次に、住宅取得能力指数を推計することで、住宅価格の上昇が家計の住宅の取得能力に及ぼす影響を確認する。住宅取得能力指数は、家計の貯蓄額と住宅ローン借入可能額から求めた調達可能金額を住宅価格で除して算出され、土地付き注文住宅や戸建分譲、マンションごとに求めることができる。コロナ禍前までは金利が低下することで調達可能金額が増加する中、土地付き注文住宅や戸建分譲は価格がおおむね横ばいで推移したことから住宅取得能力指数が上昇してきたが、マンションについては価格の上昇が顕著であったことから取得能力が低下してきた(第1-1-9図(3))。2021年半ば以降は、マンションだけでなく、土地付き注文住宅、戸建分譲いずれも価格が上昇する中で住宅取得能力は低下しており、特に土地付き注文住宅で価格上昇による影響が大きくなっている(付図1-1)。

住宅着工は底堅く推移しているが、長期的には減少の見込み

不動産価格や住宅取得能力の動向を踏まえ、注文住宅からなる持家、マンション等の賃貸用物件としての貸家、居住用マンションや建売の戸建販売からなる分譲の利用関係別にコロナ禍後の着工戸数の推移をみてみよう。持家着工は、2020年半ばから2021年末にかけて、感染症対策としての住宅ローン減税制度等の住宅取得支援策の効果に加え、郊外の住宅需要の高まりもあって持ち直したが、2022年は価格上昇によって取得能力が低下している中、減少傾向で推移している(第1-1-10図(1))。一方、相対的に価格上昇が抑えられている分譲住宅は2022年も底堅く推移してきたが、2023年に入り弱い動きとなっている。家計行動とは関係は薄くなるが、貸家の着工は2020年半ば以降、在宅勤務の広がり等に対応した比較的床面積の広い住宅への需要が高まったことなどを背景に、持ち直しの動きが続いてきた。2022年以降、価格上昇によって住宅取得を見送った世帯の賃貸需要を見込んだ動きも指摘される12中、底堅く推移してきた。このように、持家が弱含む一方で貸家や分譲住宅が底堅く推移し、住宅着工戸数全体としてはおおむね横ばいで推移している。一方、着工床面積をみると、2022年は減少傾向で推移している(第1-1-10図(2))。これは、一戸当たりの床面積は、貸家が感染拡大以降緩やかに上昇し、分譲住宅はおおむね横ばいとなっている一方、持家が世帯当たりの人数の減少に伴う趨勢的な低下傾向に加えて物価上昇も背景として低下傾向が継続していることによるものであり、物価上昇が床面積ベースの住宅着工にも影響を与えている様子がうかがえる(第1-1-10図(3))。

着工床面積は減少しているものの、着工戸数は総じてみれば底堅く推移している中で、住宅着工は今後どのように推移していくだろうか。住宅着工の変化は、定義上、総戸数(ストック)の前期差と建て替え等に分解され、総戸数の変化は世帯数の増減による居住物件分と非居住物件分に分解できる。そこで、住宅着工戸数の変化について、3つの動き(居住物件の増減、非居住物件の増減、建て替え等の増減)別にみると、2019年以降、世帯数の増加ペースが落ちることで、世帯数要因による着工戸数は徐々に減少してきていることがわかる。

社会保障人口問題研究所の世帯推計13を基に、足下の世帯数の上振れを反映して補正した将来の世帯数の推移をみると、世帯数は2020年~25年にかけておおむね横ばいで推移し、2030年にはマイナスに転じることから、着工戸数全体も減少傾向が続くと見込まれる(第1-1-11図(1)(2))。住宅政策に当たっては、着工戸数の増加にとどまらず、住宅投資を一人当たり床面積の上昇や省エネ対応が進んだ住宅着工の促進など、住宅の質の向上等が重要と考えられる。

3 企業部門の動向

次に企業部門について、2022年以降の生産・在庫の動向、収益動向を確認した上で、設備投資の動向を整理する。その後、中長期的な設備投資の動向に着目し、今後に向けた課題を整理する。

電子部品・デバイスや生産用機械は在庫調整局面だが、輸送機械は生産回復

まず、生産について、全体と主要業種別の動きを確認する。鉱工業全体としては、2022年3~5月の中国上海でのロックダウンによる部材供給不足を背景に4、5月と生産が大幅に減少したが、その後夏にかけて反発した。秋以降は少しずつ生産が減少してきたものの、2023年1月に底を打ち、徐々に増勢を回復している(第1-1-12図(1))。業種別に内訳をみると、電子部品・デバイスは、世界的な半導体不足を背景に高い水準で推移してきたが、PC・スマートフォン需要が世界的に減少したことで、2022年後半にはメモリを中心に半導体市場が軟化し減少したが、2023年春以降下げ止まりつつある。生産用機械は、2022年秋にかけて半導体製造装置、建設・鉱山機械を中心に増加したが、その後は減少している。半導体製造装置は、世界的な半導体需要の減少の影響もあり、納期延長などがみられたことで秋以降減少したが経済安全保障の観点や、将来的な半導体市場の成長期待等に基づく世界的な工場新設や能力増強の動き等に支えられ、2023年に入り底堅く推移している。建設・鉱山機械はアメリカを中心にインフラ需要や資源開発などが堅調に推移する中で増加してきたが、年末にかけて需要が一服した。輸送機械は車載用半導体の供給不足によって2022年は停滞したが、2023年入り後、半導体需給が徐々に改善することで生産が回復している。このように、電子部品・デバイスが2022年夏以降下押しした一方、秋までは生産用機械が増加をけん引してきた。2022年末~23年初にかけてはけん引役不在で全体として弱い動きとなったが、輸送機械を中心に、2023年春以降持ち直してきている。

生産の先行きを展望する上で、主要業種の在庫循環図を確認してみよう。電子部品・デバイスは、2023年6月時点では出荷が減少し在庫が増加する「在庫調整局面」にある(第1-1-12図(2))。そのため、今後在庫が減少して適正水準になるまでは生産を抑制させていくが、コロナ禍以降、需要・生産両面で見通しが立てにくいことで在庫調整が遅れたが、半導体の在庫調整は2023年内には終わるとの見方もある14。次に、生産用機械についても、2023年4-6月期は出荷が減少する中で在庫も前年と同程度にとどまるなど、「在庫調整局面」に位置している。2022年7-9月期、10-12月期はともに「在庫積み増し局面」で推移しているところから出荷が減少に転じることで局面が変わっているが、短期的な振れの可能性がある。業界の見通しをみても、例えば、国内の主要な半導体製造装置メーカーは、2023年度前半は生産が前年度比で減少するものの、年度後半以降持ち直すとの見込み15を示している。建設・鉱山機械についても、建設機械の輸出はアメリカにおける採掘・油田機械受注が堅調であることなどから、2023年度は続伸するとみられており16、当面は海外向けの生産・出荷は増加傾向で推移することが期待される。

次に、輸送機械をみると、出荷・在庫ともに増加しており、「在庫積み増し局面」に位置している。輸送機械は、これまで車載用半導体をはじめとする部材供給不足により生産ができず、出荷・在庫ともに減少が続く「在庫減らし・在庫調整局面」にあったが、2023年以降、供給制約の緩和による生産の回復に伴い在庫を増加させることが可能となっている。在庫の前年比の増加幅が大きいのは、前年の感染拡大等による生産停止によることも踏まえると、全体として前向きな動きといえよう(第1-1-12図(3))。供給制約の緩和は輸送機械における生産計画の実現状況からもみてとれる。一般的に輸送機械では、受注状況を参考とする月次生産計画が遅くとも前月中旬には確定する。生産計画の確定後は部品メーカーのリードタイム等の物理的制約から大幅な変更を加えにくいこともあり、生産計画と実績に大きなずれは生じない。しかし、製造工業生産予測指数と鉱工業生産指数とを比較すると、コロナ禍では当初計画と月次生産計画のかい離(予測修正率)、月次生産計画と生産実績とのかい離(実現率)が続いてきた。こうしたかい離はいずれも2023年初以降解消されてきており、予期できない部材供給不足の解消が示唆される(第1-1-12図(4))。また、自動車大手7社の2022年度1-3月期の決算発表時に示された生産計画や販売計画によると、供給制約が緩和される中で、2022年度の実績と比べて2023年度には生産が大きく回復し、販売が増加する見込みが示されるなど、輸送機械の生産は今後も持ち直しが続くと考えられる(第1-1-12図(5))。

2022年度の企業収益は高水準だが、年度後半は製造業を中心にコスト増が下押し

2022年度の企業の収益動向を製造業・非製造業別にみると、製造業については、売上高は増勢に鈍化がみられ、営業利益、経常利益ともに年度後半にかけて減少傾向となっている。非製造業については売上高が増加を続ける中、経常利益、営業利益ともに特に年度後半にかけて増加している(第1-1-13図(1))。

2022年度後半の売上と利益の関係をみるため、売上高経常利益率の変化幅を要因分解すると、製造業では、売上原価率と営業外収益等が売上高経常利益率の下落に寄与している一方、企業の効率化努力の下、売上高販売管理費比率は低下することで、売上高経常利益率の改善に寄与している(第1-1-13図(2))。売上原価率については、原材料価格の高騰によって前年同期と比べ増加したこと、営業外収益等については、2022年度末にかけてそれまでの円安方向への動きが一服し、円高方向に動いたことで為替差益が減少することなどにより、マイナスに寄与している。非製造業については、中間投入に占める財の割合が低いことから原材料価格上昇の影響が相対的に小さい中、ウィズコロナの下で売上が大きく回復したことなどにより売上原価率の低下が売上高経常利益率の改善に寄与している。

同じ期間の企業収益を業種別にみると、製造業では、輸送用機械、一般機械は前年同期と比較して増益、電気機械はおおむね前年同期と同水準となっている(第1-1-13図(3))。これらの業種は共通して、海外売上比率が高い加工業種であり、円安の影響もあって利益が押し上げられたが、電気機械は家電の需要が弱かったこと等が影響していると考えられる。一方、パルプ・紙、非鉄金属、化学などの素材業種では、原材料価格の高騰や円安による輸入コストの増加により大きく減益となり、石油・石炭は資源価格の下落による在庫評価損などを反映して減益となった。非製造業では、ウィズコロナの下で旅行や外食の再開が進み、卸売・小売が増益を維持するとともに、陸運や生活関連サービス、宿泊といったコロナ禍で厳しい状況が続いてきた業種が増益となった。ただし、飲食は営業利益自体は改善したものの、2021年度に受給していた休業補償がなくなったことで営業外利益が減少したことも影響し、減益となっている。また、原油・LNG等の鉱物性燃料の高騰が一服したことを受け電気業も増益となった。

このように企業収益が高水準で推移する一方、コロナ禍で企業の借入金が増加した点には留意が必要である。2020年度以降コロナ禍において、雇用調整助成金、持続化給付金や休業補償に加え、いわゆる実質無利子・無担保融資といった政府による支援策により、月々の倒産件数は500件程度まで低下するなど、事業主体は守られてきた。我が国の企業の借入金の状況をみると、いずれの企業規模においても2020年度以降借入金の増加がみられ、手元流動性を確保することで経済活動正常化までの間の事業活動を守る動きがみられてきた。特に、中小企業では、長期借入れは1998年度以来の高水準となっている(第1-1-13図(4)(5))。コロナ禍のような経済的ショックにおいて、無利子融資や助成金等によって、本来であれば事業継続できた企業が倒産することを避けることは経済的に理に適ったことであるが、平時であれば市場から退出するはずの生産性の低い企業も存続し、雇用や資本などの生産要素が生産性の高い企業に移動できなければ、中長期的には経済全体の生産性が損なわれる可能性もある17

足下の倒産動向をみると、コロナ禍後の経済へと移行し、各種支援措置が終了していく中、2023年6月の倒産件数は720件と2020年春の感染拡大直後の500件程度から増加してきている(第1-1-13図(6))。企業債務が高い水準になる中で、個々の企業が過剰債務問題に陥ることを回避し、適切な企業支援を提供しつつ、健全な市場競争の下では存続が難しい企業が市場から円滑に退出できる環境を整えることが、資本と労働という生産要素の再配分を進めることで我が国経済全体の生産性を向上させるという観点から重要となってこよう。その際、これらの企業の従業員が次の職をスムーズに見つけられるよう、労働市場のマッチング機能の強化と新たな成長分野へ移行できるようなリ・スキリングの支援などを合わせて提供していくことが重要である。

設備投資は堅調な企業収益を背景に増加しているが、実質面では物価上昇が下押し

このように倒産は増加しているものの、加工型業種や非製造業を中心に総じてみれば経常利益が高水準となる中、設備投資の動向をみると、キャッシュフローが増加していることに支えられ、名目ベースでは過去最高となっている。ただし、キャッシュフローの増加ほどに設備投資は増加しておらず、設備投資キャッシュフロー比率は歴史的に低い水準で推移している(第1-1-14図(1))。加えて、資材価格の高騰等に伴い設備投資デフレーターが上昇していることで、実質設備投資の増加テンポは緩やかである(第1-1-14図(2))。

実質設備投資の動向を形態別にみると、2022年以降、ソフトウェア、研究開発等の知的財産生産物への投資は増加基調で推移してきた(第1-1-14図(3))。その他の機械設備等については2022年7-9月期にかけて能力増強投資や更新投資を中心として増加したが、2022年10-12月期以降は物価上昇や半導体市況の軟化等を背景に、高い水準ではあるものの減速してきた。一方、輸送用機械は2022年の前半までは供給制約等により低水準で推移してきたが、2022年10-12月期以降、供給制約が徐々に緩和されてきたことで増加した。

2023年度については、日銀短観(6月調査)では、7.4%増加した2022年度からさらに12.4%増加する設備投資計画が示されるなど、企業は設備の更新や維持・補修、省力化・合理化、IT化など念頭に、引き続き強い投資意欲を維持している(第1-1-14図(4))。また、これまで実質投資を下押ししてきた投資財価格についても、2023年は上昇テンポが鈍化しており、実質ベースでの投資を下支えする要素となろう(第1-1-14図(5))。

資本のヴィンテージが伸びている中、資本装備率、資本生産性は低水準で推移

我が国の企業の設備投資を取り巻く環境を中長期的にみると、1990年代後半から2000年代前半にかけて、バブル崩壊後の不良債権処理の過程で金融機関のリスク許容度が下がる中、企業は財務の健全性を高めるべく債務の返済を優先し、設備投資等については新規の借入を抑制しながら、内部調達による資金に基づくキャッシュフローの範囲内で行ってきた18第1-1-15図(1))。その後も、低成長が続いたことで企業の期待成長率が下がったことに加え、デフレ下において実質金利が高止まったことで、企業にとって借入れによって設備投資を行うリスクが高くなったため、2000年代を通じてキャッシュフローの範囲内で投資を行う状況が続き、企業の純貯蓄(=貯蓄-投資)の対GDP比もG7諸国の中で最も高い水準で推移してきた(第1-1-15図(2))。こうした中、生産的資本ストック19の伸び率をみると、1990年代は4%を超えていたが、2010年代には0%程度となり、2020年代にはG7の中では我が国だけが減少している(第1-1-15図(3))。

我が国は既に人口が減少しており、資本ストックが減っても一人当たりの資本ストック(資本装備率)が減るとは限らない。しかし、資本装備率も2000年以降減少に転じており、主要先進国の中で最も低い水準となっている(第1-1-15図(4))。さらに、投資の低迷は、資本の平均年齢(ヴィンテージ)の上昇につながっている。1970年以降、G7諸国の資本ヴィンテージを試算20すると、我が国では1990年代半ばまでは積極的な投資を通じて相対的に低い水準で推移してきたが、1990年代半ば以降、投資が抑制される中で設備の老朽化が急速に進んだ結果、2019年時点ではイタリアを除いた他の5か国よりもヴィンテージが長くなっている(第1-1-15図(5))。こうした資本の老朽化は生産性を低下させることが指摘されている21。実際、資本ストックをGDPで除した資本係数(資本係数が低いほど少ない資本ストックで実質GDP(付加価値)を1単位生み出すため、資本生産性が高い)をみると、我が国は1990年代前半までは活発な投資がGDPの増加を生み出していたが、その後は、投資に比して実質GDPが伸びなかったため、資本係数が上昇し、1990年代以降はG7諸国で最も資本効率が低くなっている(第1-1-15図(6))。また、企業会計ベースでの資産の効率性をROA(総資本利益率)を用いてみても、コロナ禍を経て1990年代と同程度の水準でとどまり、長期的にみて改善傾向とは言えない状況にある(第1-1-15図(7))。

今後、新規設備の導入や既存設備の更新等を通じて資本の生産性を向上させていくことは喫緊の課題であり、実際、企業側も設備の入替えや省力化、IT化などを念頭に投資マインドが高まっている。また、官民での国内投資の機運醸成に向けて2022年12月に開催された「国内投資拡大のための官民投資フォーラム」においても、経済界から過去最高水準の設備投資見通しが示されており、引き続きこうした民間による積極的な投資の動きが続くことが期待される。

4 経常収支と海外需要の動向

財輸出は生産、投資を通じて企業の経済活動に、原材料等の輸入は企業の生産に、消費財の輸入は家計消費に直接関わる。また、サービス貿易もインバウンドやアウトバウンド、知的財産権の利用やデジタル関連のサービス利用などが増加することで年々規模を拡大している。加えて、海外子会社からの配当等の所得収支も企業収益の観点から欠かせない要素である。本項では、こうした活動に関わる経常収支や貿易の動向をみるとともに、長期的な我が国の輸出入の構造変化を確認したい。

経常収支は、貿易収支が赤字で推移するも、所得収支黒字の下、黒字基調で推移

まず、経常収支の動向を確認しよう。2022年以降の経常収支は、秋にかけて子会社の収益改善や円安方向への動きにより直接投資収益を中心に増加がみられ所得収支が改善したものの、資源価格等の上昇を背景とした貿易赤字拡大の影響が大きく、2022年10月には経常収支は103か月ぶりの赤字となった。しかし、それ以降は貿易収支の赤字幅が縮小したことや、サービス収支が改善することで、経常収支も黒字で推移している(第1-1-16図(1)(2))。

貿易収支の動向について、貿易統計を用いて輸出入金額を数量要因と価格要因に分解して詳細にみると、輸入については、2022年以降は、原油やLNG,石炭等の鉱物性燃料の輸入金額が価格要因で大きく上昇する中、食料品、木材や鉄鋼、非鉄金属等の原料品、有機化合物や医薬品、プラスチック等の化学製品についても輸入物価の上昇や円安が進む中で価格要因が上昇することで輸入金額が伸びてきたが、2022年秋以降、鉱物性燃料中心に価格要因が縮小する中、全体としても輸入金額が減少している(第1-1-16図(3))(付図1-2)。輸出については、電気機器や化学製品は世界的な需要の減少の影響を受けて数量要因が減少しているが、輸送用機器、一般機械含めいずれも価格要因が上昇することで伸びている(第1-1-16図(4))(付図1-3)。

サービス収支については、コロナ禍以降、旅行輸出がほぼ失われる中、赤字幅を拡大した状況で推移してきた。この間、知的財産権等使用料は黒字で推移した一方、再保険含む保険・年金サービスが趨勢的に拡大してきたことに加え、その他業務サービスもウェブ広告への支払増などを背景に赤字幅を拡大しており、全体としても2022年夏まで赤字幅が徐々に拡大してきた(第1-1-16図(5))。また、近年、輸入超過となっているデジタル関連サービス22の影響が大きい通信・コンピュータ・情報サービスや専門・経営コンサルティングサービス、著作権等使用料についても、ゲームのサブスクリプション利用料の増加もあって通信・コンピュータ・情報サービスの受取は増加しているものの、収支は赤字幅が拡大する傾向にある(第1-1-16図(6))。一方、2022年10月の水際対策の大幅な緩和以降、旅行収支が訪日外客数の回復等により改善している(第1-1-16図(7))。

外需は、半導体需要が減少する中、自動車が持ち直すことで底堅い動き

輸出数量の動向を地域や品目別にみていくと、2022年半ばから半導体市況が悪化する中で、半導体等電子部品を中心とする電気機器や半導体等製造装置を含む一般機械の輸出の減速、世界的な需要低迷の下での化学製品の輸出の減速等により、アジア向けを中心に弱い動きが続いてきた。2023年に入り、供給制約の緩和を背景に輸送用機器の輸出が持ち直すことなどで、輸出全体としても底堅さがみられる(第1-1-17図(1))。特に中国向けは、2021年度にみられた5G向けの基地局需要などとみられる通信機輸出の剥落や、半導体市況悪化による情報関連財の輸出減、中国国内の感染再拡大に伴う生産や消費の停滞、電気自動車の普及等に伴う原動機や自動車関連財の輸出減により、大きく減少してきたが、自動車関連財は2023年に入って持ち直している(第1-1-17図(2))(付図1-4(1)~(3))。自動車輸出については、中国に限らず、アジア、アメリカ、EU向けのいずれも持ち直してきていること、半導体市況に底入れの兆しがみられ、半導体製造装置の減少も一服してきたことが、輸出全体として底堅い動きとなってきている背景として挙げられる(第1-1-17図(3)(4))。

輸入数量をみると、各地域からの輸入が2022年秋以降減少してきたが、2023年春以降、持ち直してきている(第1-1-17図(5))。アジアからの輸入を地域別にみても、中国、NIES、ASEAN全ての地域で2022年秋以降減少し、2023年に入ってからはおおむね横ばいで推移してきている(第1-1-17図(6))。アジアからの輸入を品目別にみると、医薬品やプラスチックを中心に化学製品が2022年冬から減少し続けている一方、機械機器は電話機や電算機類が減少することで2022年後半は減少してきたが、2023年以降はICや電算機類が持ち直す中で、全体としても持ち直していることがわかる(第1-1-17図(7)(8))。アメリカからの輸入については、2022年はワクチンを除く医薬品を中心とした化学製品や、他地域からの輸入代替がみられた穀物などの食料、コロナ禍における航空機本体の輸入減などを背景として機械機器が減少し、全体としても大きく減少してきた。しかし、2023年に入り、原動機が持ち直す中で機械機器は下げ止まり、穀物類が春以降上向くことで食料品が反転し、化学製品も回復するなど、全体として持ち直しの動きがみられている(第1-1-17図(9)(10))。

我が国は近年、半導体等製造装置、建設用・鉱山用機械に強み

世界の輸出に占める日本のシェアは、1990年時点で8.2%であったが、中国をはじめとするアジア諸国のプレゼンスが拡大する中で、2020年には3.0%へと低下している(第1-1-18図(1))。そこで、財貿易の長期的な動向をみた後、我が国の貿易上の比較優位とその変化を確認したい。

この間の我が国の財貿易における構造変化をみてみよう。まず、輸出品目からみると、1990年には電気機器、一般機械、輸送用機器が約7割を占めていたが、電気機器と一般機械のシェアの低下を受け、2022年には約6割となった。一方、化学製品やその他のシェアが拡大している(第1-1-18図(2))。輸出先の変化をみると、1990年代には3割強だったアジア向けのシェアが、2022年には中国向けを中心に6割弱まで上昇し、アメリカ及び欧州向けが減少している(第1-1-18図(3))。

次に、詳細品目の動向をみてみよう。まず、シェアが低下した電気機器の動向をみると、1990年代半ばにかけて半導体等電子部品を中心として電気機器のシェアが高まったが、2000年以降、半導体等電子部品やデジタルカメラ等の映像機器の輸出シェアが低下している(第1-1-18図(4))。一般機械は、1995年以降、パソコン、モニター等からなる電算機類が減少することでシェアを下げている(第1-1-18図(5))。一方、化学製品の内訳をみると、2000年代半ばにかけて元素及び化合物やプラスチックがシェアを高めている(第1-1-18図(6))。これは、2000年以降、中国、NIES、ASEANがグローバルバリューチェーンにおいて台頭する中で、家電等の電化製品や半導体をこれらの国で製造し、その素材となる半導体用の樹脂等の化学製品を我が国から輸出する形でバリューチェーンが組み直されていった結果と考えられる。実際、電気機器は、我が国からの輸出シェアが減少する一方で我が国の輸入に占めるシェアは増加しており、具体的には半導体等電子部品、音響・映像機器に加え、近年ではスマートフォンが約6割を占める通信機の輸入が伸びている。こうした動きに伴い、中国をはじめとするアジアからの輸入が増加している(第1-1-18図(7)(8)(9))。しかし、バリューチェーンの棲み分けによる変化だけでなく、シェアを伸ばしている品目がある。具体的には、一般機械では建設用・鉱山用機械が2000年以降継続的にシェアを伸ばすとともに、半導体需要が世界的に高まる中で、半導体等製造装置が2015年以降急速にそのシェアを伸ばしている。また、化学製品では2010年代半ば以降に医薬品や製油・香料及び化粧品のシェアが高まっている23(前掲第1-1-18図(5)(6))。

これらの品目について、我が国の比較優位の状況を測るため、顕示比較優位指数(RCA指数)をみてみよう。RCA指数は1を超えていれば、その品目について我が国は比較優位を有していると解釈できる。まず、高い輸出シェアで推移している輸送用機器はRCA指数が高水準を維持している。一般機械も電算機類の輸出減少があったものの、ブルドーザーやエキスカベーター(掘削機)といった品目からなる建設用・鉱山用機械や、半導体製造装置のRCA指数が高く、前者では近年さらに上昇している。一方、電気機器は2000年には1.6だったが、2021年には1.0と比較優位を失っており、化学製品は我が国における輸出シェアは伸びているもののRCA指数は1.0に止まっている(第1-1-18図(10)(11))。

このように、我が国は中国をはじめとするアジアとの競争の中で、2000年以前は強みとしてきた電気機器等のシェアを落としながら、建設用・鉱山用機械や医薬品をアメリカ向けに、半導体製造装置や化粧品をアジア向けにといった形で、市場ごとにニーズを汲み取りながら、新たな強みを見つけて輸出を伸ばしている。我が国はこれまでもTPPや日EU・EPA、RCEPを締結するなど、関税協定に止まらない貿易・投資の幅広いルールを各国との間で整えてきた。こうして整えられた貿易環境を企業に有効活用してもらうための支援や、IPEFをはじめとした新たな枠組みのルール作りに積極的に関わりながら、企業が比較優位のある分野を切り拓き、海外展開しやすい環境を整えていくことが重要である。


(2)詳しくは、森(2023)参照
(3)鈴木・森(2023)では、「オルタナティブデータとは、近年のデジタル化の進展とその活用の広がりに伴って、伝統的な統計調査とは異なる情報源や入手経路を通じて新たに利用可能となったビッグデータの総称とされる。」としている。
(4)本コラムの内容は、鈴木・森(2023)に基づく。検討の詳細や図表の詳細な注については、同稿を参照されたい。
(5)期間中のJCB消費NOW、消費活動指数、CTIマクロの消費支出前月比の絶対値の平均は、それぞれ3.1%、2.2%、1.4%であった。
(6)JCB消費NOWは名目値でしか公表されていないため、本コラムでは名目の動きについてのみ補正を行っているが、鈴木・森(2023)では、一定の仮定のもと系列を実質化する手法についても検討している。
(7)2021年度の住宅投資のうち84%が家計部門、14%が賃貸マンションを含む法人企業による投資、2%が公営住宅等の公的部門による投資である。
(8)所得弾力性が高齢化によって高まる効果も交絡項として織り込んでいる。付注1-1参照。
(9)詳細は、「平成30年度年次経済財政報告」付図1-1を参照。
(10)分類の詳細は山内(2023)を参照。なお、選択的サービスからは通信を除いている。
(11)雇用者報酬は国民経済計算に基づく概念であり、生産活動から発生した付加価値のうち、労働を提供した雇用者への分配額を指すもので、「賃金・俸給」と「雇主の社会負担」に分かれる。「賃金・俸給」は、一般雇用者の賃金、給料、手当、賞与等のほか、役員報酬や議員歳費等が含まれ、さらに給与住宅差額家賃や雇用者ストックオプションが含まれる。また、「雇主の社会負担」には、社会保険制度のうち年金制度に係る雇主の実際の負担金や医療や介護保険、雇用保険、児童手当にかかわる雇主の負担金、退職一時金の支給額が含まれる。一方、総雇用者所得は雇用者が稼ぐ所得の合計であり、雇用者報酬における「賃金・俸給」と概念は近いものの、役員報酬や議員歳費等は含まれていない。
(12)詳細は岡田(2023)を参照。
(13)2018年1月公表。2015年の国勢調査を基にした推計結果であり、2020年国勢調査を基にした将来推計人口は2023年4月に公表されているが、世帯数推計は未公表であり、2015年から2020年にかけて当時の世帯推計よりも世帯数が増加している実態などを捉えきれていない点に留意が必要である。
(14)半導体国際業界団体であるSEMI ”World Fab Forecast Report”(2023年3月)によると、主要半導体メーカーの在庫調整プロセスが2023年中にはほぼ完了するとされている。
(15)半導体製造装置大手各社のうち、IR(2023年5月時点)において2023年度上期下期別の見通しを出している社(東京エレクトロン、SCREEN、荏原製作所(精密・電子部門)、東京精密(半導体部門)、TOWA(全部門計))はいずれも2023年度前半と比べて後半に向けて市場が改善していくと予想している。
(16)日本建設工業会が2023年8月に公表した見通しによると、建設機械の世界向け輸出額は、2023年度は上期が7%、下期が14%前年同期より増加する中で、年度を通して5%増加すると見込まれている。
(17)例えば、Andrews(2017)では、生産性が低く競争市場においては典型的には退出するであろう企業の増加がマクロの生産性を下げる、Barrero(2020)では、給与収入を超える失業手当の給付や雇用保護のための補助が感染症の拡大による経済ショックに対応するための雇用の再配置を阻害する、Lilas(2021)では、短期的には流動性支援は生産性の低い企業を増加させるとは言えないが、中期的には資源の再配置を遅らせる可能性があると指摘している。
(18)企業がバブル崩壊後2000年代初頭にかけて新規借入を抑制し、キャッシュフローの範囲内で設備投資を行った背景についての詳細な分析は内閣府(2003)を参照。
(19)Productive Capital Stockとは、現在あるいは過去に生産された固定資産や在庫資産などの生産資産と、土地など自然に存在している非生産資産の蓄積や賦存量である資本ストックの、生産要素としての有用性や能力の測定量であり、資本による生産への貢献分を示すフロー量である資本サービスの源泉と捉えられる。詳細は内閣府経済社会総合研究所(2021)参照。
(20)資本のヴィンテージはベンチマーク・イヤー法に基づき、以下の計算式から算出した。 Vt=[(Vt-1+1)×(Kt-1R)+It×0.5]/Kt Vはヴィンテージ、Kは資本ストック、Rは除却額、Iは設備投資額を指す。なお、ヴィンテージの水準は、初期年齢の設定によって大きく変わるが、長期間で推計を行った場合には推計開始時点の資本はほぼ置き換えられていると考えられることから、一定の比較可能性は得られると考えられる。
(21)詳しくは、Hagiwara and Matsubayashi(2019)参照。
(22)詳しくは、内閣府政策統括官(経済財政分析担当)(2023)第1章参照。
(23)特に医薬品はアメリカ向けが2014年は約720億円だったのが、2022年には4,120億円まで増加、製油・香料及び化粧品は中国向けが2014年には600億円だったのが、2022年には4,850億円まで増加している。
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