第3章 成長力拡大に向けた投資の課題

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新しい資本主義では、社会課題の解決に向けた取組自体を付加価値創造の源泉として成長戦略に位置付け、持続可能な成長の実現を目指すこととされている1。その実現に向けて、人への投資、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)を重点投資分野とし、官民連携で計画的な重点投資を行うこととされている。本章では、これらの重点投資分野のうち、特に国際的に取組が活発化しているグリーンとデジタルの両分野に焦点を当て、グリーン投資2とデジタル投資の拡大に向けた課題を整理する。両分野ともに感染拡大以前から、持続可能な発展の実現や企業の生産性向上を企図し、各国で取組が進められてきた分野であるが、いずれも感染拡大以降に、その重要性が一層意識されている。すなわち、感染拡大以降のテレワークや非対面型サービスの広がりを受けて、デジタル技術の活用が加速している。また、経済対策としての側面を伴った形で、各国で脱炭素に向けた目標が設定され巨額の予算が計上されているほか、第1章でみた通り、ロシアによるウクライナ侵略以降は原油価格が高水準で不安定に推移しており、エネルギー消費効率の改善の重要性が一層高まっている。

本章では、このような環境変化を踏まえた成長戦略の課題を検討する。第1節では、近年の我が国設備投資の停滞の背景について整理する。第2節では、我が国が脱炭素化を進めていく上での論点を整理する。第3節では、我が国のデジタル投資の課題について人的資本の蓄積との関係に着目して分析をしている。第4節はまとめである。


(1)詳しくは2022年6月7日に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」を参照。
(2)再生可能エネルギー比率の引上げなど環境に配慮した経済活動への投資の総称。
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