第2章 感染症拡大の下で進んだ柔軟な働き方と働き方改革

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新型コロナウイルス感染症(以下、感染症と略)が広がる以前より、我が国では働き方改革を推進してきた。具体的には、2019年4月に長時間労働是正に向けていわゆる働き方改革関連法が中小企業への残業上限規制等を除いて施行され、有休取得日数の増加や残業時間の縮減等の動きがみられていた1。また、2020年の4月からはパートタイム・有期雇用労働法が大企業に施行され、労働者の待遇の在り方の見直し等が大企業を中心に進められている。しかしその後、感染症の拡大を受け、その防止の観点から、働き方に大きな変化が求められることになり、現在の労働環境は働き方改革の成果と感染症の影響が重なっているものと考えられる。本章では、こうした雇用環境の変化について、感染症の拡大による影響を概観するとともに、これまでの働き方改革の進展の評価を行い、今後の働き方改革の進め方の検討材料を提供する。

まず、第1節では、労働時間の観点から、これまでの制度改正と感染症の影響をみていく。第2節では、働き方改革関連法の施行を経て、今までの働き方改革の取組の進捗と結果について確認する。第3節では働き方改革の具体的な取組を実施した企業と実施していない企業を比べることで、雇用や生産性にどのような違いが生じたのかを分析する。第4節では、本章の分析結果について整理し、この先の働き方改革の針路について考察する。


(1)内閣府(2020)「日本経済2019-2020」第2章を参照。
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