第3章 「Society 5.0」に向けた行動変化
我が国の景気は緩やかに回復しており、経済の好循環は着実に進展しているものの、今後の少子高齢化の進展等を考慮すると、中長期的な経済活力を維持・向上させていくためには、第4次産業革命と呼ばれる近年のイノベーションを加速し、社会実装を進め、その成果を経済成長や国民生活の豊かさにつなげる「Society 5.0」の実現が求められている。
本章では、第4次産業革命の世界的な動向と、それが経済社会に与える影響について整理するとともに、我が国経済が国際的にみて競争力とイノベーションの優位性を保つための課題を探るために、知識・人的資本・技術力などの「イノベーションの基礎力」と、組織の柔軟性・起業家精神などの「イノベーションへの適合力」の2つの大きな要素に分けて、国際比較を交えながら日本の強みと弱みを整理する。その上で、第4次産業革命が進展する中で、企業の労働分配率や生産性がどのように変化しているかについても、企業レベルのデータを用いた実証的な分析を行い、我が国経済が持続的成長を実現するための課題を考察する。