第2章 人生100年時代の人材と働き方

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我が国の労働市場は、人手不足への対応に加えて、技術革新や人口動態の変化といった構造的な課題への対応も同時に迫られている。具体的には、情報化の進展を背景に、あらゆるものがネットにつながり(IoT)、人工知能(AI)やロボット等がより高度な作業を担うことが可能となる中で、技術革新を担う高度な人材をいかに育成していくか、また、新技術の導入に対応して働き方を見直し、いかに生産性の向上につなげるかといった課題に対応することが求められている。同時に、少子高齢化が進み、平均寿命が延伸する中で、新技術の活用とワーク・ライフ・バランス(WLB)の促進等により、男女ともに年齢によらずに社会で活躍し、自分にあった仕事を長く続けていくことを可能にする多様な働き方を実現していくことが望まれている。

この章では、上記のような日本の労働市場が直面する技術革新への対応や少子高齢化・人生の延伸に対応した多様な人生設計や働き方の実現に向けて、現状の分析を行うとともに、課題を整理する。

第1節では、技術革新と少子高齢化がもたらす労働市場への影響について、現状の分析と論点の整理を行う。具体的には、新技術の導入による定型的な仕事の代替の可能性、テレワークなど柔軟な働き方の普及、オンラインの仲介で働くフリーランスなど雇用関係によらない働き手の増加といった技術革新による労働市場への影響について分析するとともに、少子高齢化が進む中で、女性・高齢者の就業の現状等について概観する。

第2節では、人生100年時代、技術革新に向けた人材育成に焦点を当てて分析する。今後需要がさらに高まることが見込まれる高いスキルを持った人材を育成するためには、大学等の教育内容、経営の見直し、より効果的な企業内訓練の実施、学び直しができる環境整備が求められるが、その現状や教育・訓練の効果について定量的な分析を行うとともに、それぞれの課題を整理する。

第3節では、少子高齢化を踏まえた多様な働き方の実現に向けて、どのような課題があるのかについて分析を行う。具体的には、柔軟な働き方やワーク・ライフ・バランス等の働き方の見直しが、女性や高齢者の労働参加を促し、いかに生産性を向上させるか等について定量的な分析を行うとともに、多様な働き方の実現に向けた課題を整理する。

最後に、第4節では本章の分析内容を整理し、技術革新・少子高齢化に対応した今後の労働市場の課題を示す。

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