第1節 世界的な金融危機と国内金融(12)

(12)98年10月から2001年3月までの間に実施された、「中小企業金融安定化特別保証制度」については、金融機関の貸し渋りに対する緊急対策の中で、企業倒産の抑制等の一定の効果があったとの評価がなされている。同特別保証制度の運営実績を当初の制度設計時の想定と対比してみると、政府が想定した保証枠の96.5%に相当する額の保証承諾が実行され、特別保証の取扱が終了した2001年3月から7年経過した2008年度末において、事故率は8.9%となっており、想定した率(保証枠の25兆円分は10%、5兆円分は8%)に近い率に収まっている。しかし、特別保証の大部分が無担保かつ第三者の保証人を徴しないことなどから、回収率については14.8%にとどまり、想定した率(50%)を大きく下回った。