第2節 貿易・為替レートと日本経済(14)

(14)日本の輸入誘発係数が比較的低い背景としては、以下の点が考えられる。第一に、輸入の品目構成の違いである。欧米と比較して日本は、輸入に占める原燃料等のウエイトが高く、機械類等のウエイトが低い(付図1-2)。原燃料等は必需的に輸入されている部分もあり、最終需要が落ち込んでもそれに比例して輸入が減少するものではないと考えられる。第二に、産業構造の違いである。例えば、製造業が部品等を輸入によって調達する産業構造の下では、最終需要の減少が直接的に部品等の輸入の減少につながることになる。しかし、日本は部品等を国内生産によって調達して加工、輸出するケースが多いといわれており、こうした産業構造(いわゆる「フルセット型産業構造」)のもとでは、最終需要が落ち込んでもそれに比例して部品等の輸入が減少することにはならないと考えられる。