第2節 日本企業のリスクヘッジ能力(26)

(26)他企業への売却という形での「出口」を選択しにくくしている要因として、ベンチャーキャピタルファンド投資契約に買戻し条項があることも指摘されている(経済産業省(2008))。同買戻し条項は、[1]ベンチャー企業側に法令・投資契約への違反があった場合、[2]株式公開が実現されない場合、[3]ファンドが終期に近づいた場合などに発動されるものである。[2]及び[3]のケースでは、買戻し価格は、請求時点の様々な方法による株価評価額のうち最も高い価格とされる。これは出資者にとっては、他企業への売却をするよりもベンチャー企業あるいは経営者に買戻しを求める方が多額の資金を回収できることになる。