第2節 日本企業のリスクヘッジ能力(11)

(11)多角化は、業績変動のリスクを小さくする利点があるが、90年代のような経済の長期低迷に直面すると、むしろ多数の事業が不況にさらされることになり、本業の足を引っ張る可能性が増大することが指摘されている。実際に91年以降、営業赤字の計上を余儀なくされているセグメントが、相当数観察されている。また、複数の事業に経営資源の分散投入を余儀なくされることはすなわち、経営者の注意も複数の市場に注がなければならないことを意味し、外部環境の変化に対する感度が鈍化するとも指摘されている。