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付注2−5 ITと生産性の関係の推計方法

1. 経済産業省(2005)「情報処理実態調査」の個票データを用いた各種変数の作成方法等
I 情報ネットワーク適用範囲変数
 情報ネットワーク適用範囲変数の算出方法は以下のとおり。
 経済産業省(2005)「情報処理実態調査」設問3−2において、業務領域ごとに、「取引先も含めた企業横断的なシステムとして構築している」企業と「関連会社横断的なグループ企業内システムとして構築している」企業を1点、「部署横断的な全社的なシステムを構築している」企業と「担当部門内のシステムとして構築している」企業を0点と得点を与えた上で、各々を算術平均した数値が全体の平均以上のものを1、平均以下を0としたものを情報ネットワーク適用範囲変数とする。情報システムを導入していない業務領域は除外して計算。
 なお、各業務領域は以下のとおりである。
(ア)基幹業務、(イ)開発・設計、(ウ)調達、(エ)生産・サービス提供、(オ)物流、(カ)販売、(キ)カスタマーサポート

II 規模ダミー変数
 経済産業省(2005)「情報処理実態調査」問1の総従業者数の多寡から、以下のとおりおおむね3等分となるように分類し、規模ダミー変数を作成した。
・規模ダミー(大規模:総従業者数3,001人以上の企業)
・規模ダミー(中規模:総従業者数1,001人以上3,000人までの企業)
・規模ダミー(小規模:総従業者数1,000人以下の企業)

III 産業ダミー変数
 経済産業省(2005)「情報処理実態調査」問1の業種コードにより、22産業分類による産業ダミー変数を作成した。なお、クロスセクション・データであるため、産業の違いの影響が大きいと考えられることから、細かく分類している。

IV 組織特性を用いた労働生産性の推計について
 組織特性については、内閣府(2007)「企業の新しい成長戦略に関するアンケート」の問5(16)「各種経営指標の継続的なモニタリングに基づいて経営戦略を策定している。」の他に同アンケート問5(12)「意思決定は、ボトムアップ型ではなくトップダウン型である。」及び問5(13)「組織のフラット化により意思決定スピードを向上させる取り組みを進めている。」のそれぞれ5年前の状況における回答を用い、労働生産性の推計を行った。問5(12)及び問5(13)の権限の分権化や集中化といった組織特性については、労働生産性に対して有意に影響していなかった。

2. 個別企業のクロスセクション・データによる労働生産性の比較
 峰滝(2005)にならって、時系列ではなく、一時点での比較を可能とするために、平均的企業が存在すると仮定し、その平均的企業との労働生産性の乖離をみることでクロス・セクションでの比較を行う。
 平均的企業の付加価値、労働投入量、資本ストックについては幾何平均を用いてそれぞれ求め、各企業のある時点の労働生産性が平均的企業の労働生産性からどれだけ乖離しているかを計測する。なお、平均的企業からの労働生産性の乖離は以下の式により求める。

労働生産性の乖離

ある時点における企業iの労働生産性水準:ある時点における企業iの労働生産性水準
仮定した平均的企業の労働生産性水準:仮定した平均的企業の労働生産性水準
ある時点における企業iの付加価値 :ある時点における企業iの付加価値
仮定した平均的企業の付加価値 :仮定した平均的企業の付加価値
ある時点における企業iの労働投入 :ある時点における企業iの労働投入
仮定した平均的企業の労働投入 :仮定した平均的企業の労働投入

 ここでのある時点における企業iの付加価値は、2004年度決算(経済産業省(2005)「情報処理実態調査」は2004年度における調査であるため)における付加価値額(=人件費・労務費+賃借料+租税公課+減価償却費+支払特許+利払い後事業利益)を用いた。また、ある時点における企業iの労働投入については、経済産業省(2005)「情報処理実態調査」の総従業者数を用いた。
 なお、上記式で算出された平均的企業からの労働生産性の乖離について、±2σを超えるものについては異常値として除いている。


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