第1節 バブル後の調整を終えて正常化する企業行動(12)
(12) 原田、川崎、江川、木滝(2003)を参照。また、黒田・山本(2005)において、著者らの一連の関連研究の成果をまとめているが、1990年代において名目賃金の下方硬直性が存在したことが示されている。ただし、最近時点までのデータを用いた分析によると、1990年代末以降では名目賃金の下方硬直性が観察されなくなっているとしている。下方硬直性が1990年代末以降には消えた理由としては、賃下げに対する人々の抵抗感が薄れたことや、大きなショックに対する一度限りの大規模な調整が起きた可能性が指摘されている。