(6) 賃金が生産性を反映しているという仮定には十分な留意が必要である。ディビジア労働指数と資本ストックから経済成長率を説明する式を推計すると(付表3-6)、ディビジア労働指数の係数は有意ではなく、この背景には、第1章にみたように90年代以降、労働分配率が高止まりする中で、賃金水準が生産性に比べ過大であったことがある程度影響している可能性がある。ただし、足もとで賃金の調整は進みつつあることから、これを反映した労働の質は経済成長率に対しても有意な影響を与えていくことが期待される。