第4節 グローバル化の便益を引き出す構造改革(53)
(53) 我が国の現行商法では、企業同士が合併する場合、消滅する会社の株主に対しては、存続会社の株を対価とすることとなっている。しかし、存続会社の株主の保有比率が低下(配当利益が希薄化)して不利益を被るという問題があるため、存続会社の株式以外を対価(具体的には現金)とすることを可能とすべきとの議論が広まった。また、ある企業を株式交換により子会社化する場合には、子会社化される企業の株主に対しては親会社となる企業の株式を対価とすることとなっているが、商法上、「会社」は国内企業に限られているため、外国企業にはこれが認められていない。こうした問題点を改善するために、消滅会社の株主に対しては、現金を対価としたり(“キャッシュアウト・マージャー”と呼ばれる)、存続会社の親会社の株式を対価としたり(“三角合併”と呼ばれる)することを可能にすることを「合併等対価の柔軟化」という。米国等では企業合併において一般的な手法であり、これを導入することによって、国際的な企業合併が従来よりも容易に行えるようになることが期待されている。