第4節 デフレ克服への展望(18)
(18) 消費者物価指数に対してGDPデフレータが固有に持つ情報としては、(i)輸入物価の影響を除いた、いわゆる「ホーム・メイド・インフレ」を表していること、(ii)消費財だけでなく、投資財等の価格も表していること、等がある。ただし、(i)一時的な輸入物価(例えば石油価格)の上昇などの影響を分離してみるのであれば、消費者物価指数でもエネルギー価格を除いた指数を計算することで、そうした一時的な動きを排除できること、(ii)現在の投資デフレータの大幅な下落は、かなりの程度設備投資のIT比率の上昇などによって技術革新による価格下落の影響が強く出ていることから生じているが、こうした要因による投資デフレータの下落は直接デフレのコストを増やすものではないことが指摘できる。また、需給との関係でも、既にみたように、GDPデフレータとGDPギャップの関係は近年崩れているため、その動きを予測することが極めて困難である点も、それに基づいてデフレの状況を判断する上で問題である。