第2節 高齢化・人口減少の下での経済成長の展望(37)
(37) フェルドシュタイン・ホリオカ(1980)は、OECD諸国をサンプル(推計期間1960~74年)として投資率(I/Y)を被説明変数、貯蓄率(S/Y)を説明変数とする回帰式((I/Y)i=α+β*(S/Y)i+εi)を推計した結果、投資率の変動に対する貯蓄率の係数βは、粗投資率と粗貯蓄率を用いた場合は0.887、純投資率と純貯蓄率を用いた場合は0.938と、それぞれほぼ1に近い値を得た。また、サンプル期間を5年ごとに区切った場合にも、同様の結果が得られ、国際間の資本移動は完全に自由であるとの仮説は強く否定されるとした(フェルドシュタイン・ホリオカのパラドックス)。なお、このような結論を導くことの問題点については北村・藤木(1995)などを参照。