第2節 金融の再構築(20)

(20) 税務上の損金として認められない不良債権の有税償却(一時差異)や税務上の繰越欠損金などは、将来の課税所得の減額に寄与することから、税効果会計に基づき、実効税率を基に算出したのが繰延税金資産である。ただし、こうして計上された繰延税金資産は、将来における税負担軽減の見込額であることから、資産として計上するにあたっては、一時差異の解消時点あるいは繰越欠損金の繰越可能期間内に、繰延税金資産の額を上回る課税所得の発生が見込まれることが前提である。仮に、将来の課税所得見込額が現実に達成されない場合、将来時点で税負担額の軽減効果が得られずに繰延税金資産が消失することによって、自己資本が減少してしまう可能性がある。