平成13年度年次経済財政報告公表に当たって
内閣府が作成する本報告は、戦後2四半世紀にわたって経済企画庁が公表してきた年次経済報告(経済白書)を、内閣府の新しい任務にふさわしいものにするため、衣替えしたものであります。
21世紀最初の年である2001年1月に、省庁再編の一環として、内閣総理大臣が経済財政政策面でリーダーシップを発揮するための経済財政諮問会議が発足しました。その事務局としての役割を果たしているのが内閣府であり、内閣府で経済財政政策部門を担当し、諮問会議の運営を担うのが経済財政政策担当大臣の役割です。我が国の経済財政の現状と課題を分析する本報告は、経済財政諮問会議の審議を経済分析面でサポートする役割を持っています。特に、今回の報告は、小泉内閣が推し進める構造改革に、分析的な基礎付けを与えることを意図しております。
日本の経済と財政は、厳しい状況にあります。景気は、後退局面に突入している可能性が高くなっています。これは90年代に入って、3度目の後退局面になります。先行きについても、先般の米国における同時多発テロ事件等の影響もあり、世界経済が同時的に減速するなど、懸念が強まっています。景気低迷にあえぐ我が国経済を支えるため、90年代、政府は需要追加型の経済政策を推し進めました。この結果、巨額の財政赤字を抱え、また、財政構造が硬直的になっています。
現在の景気回復力の弱さやデフレを克服し、財政を維持可能にしていくためには、日本経済が直面する構造問題を解決し、日本経済の持つ潜在力を発揮するための環境を整えるとともに、財政構造改革を実現していく必要があります。厳しい日本経済の状況に対し、従来型の需要追加策によって対応し、構造問題の解決を先送りすべきではありません。
本報告では、このような経済再生と財政改革への課題について論じています。本報告が、日本の経済と財政に対する理解を深め、その課題を解決する上で、いささかでも貢献できれば幸いであります。
平成13年12月4日
竹中平蔵
経済財政政策担当大臣