注7,8
注) 7.複数の競合する特許出願のいずれに権利付与を行うかについては「先に特許を出願した者に特許を付与する主義」(先願主義)と、「先に発明した者に特許を付与する主義」(先発明主義)があり、後者はアメリカのみが採用している。先発明主義では特許成立後に先発明者の存在が明らかになることがあり、特許に関する権利が不安定化しやすい。しかし、アメリカでは、先願主義への移行は出願費用が制約要因とならない大企業に有利になるとして、個人発明家、中小企業、大学関係者等から根強い反対がある。
注) 8.ある技術について特許が成立する可能性があることは、その技術を利用している他の事業者にとってコスト増加要因となる。こうしたコストの発生を予見することができるためにも、特許が付与される可能性のある発明はなるべく早期に公開されることが事業環境の安定という観点からは望ましい。しかし、特にアメリカでは、権利付与のないまま特許出願を公開することは技術盗用を助長とするとして出願段階での早期公開に反対する意見が強い。なお、この制度は、アメリカが特許起算日に出願日ではなく特許成立日を採用していたこと(1995年に出願日起算に変更)などとあいまって、いわゆるサブマリン特許(出願後なかなか特許が付与されず、長期間公開されないままだった発明が、長い潜伏期間を経てその発明に関する技術が普遍化してから突如成立し、既存の実施企業が予期せぬ高額の特許料の支払を余儀なくされる問題)の原因となってきた。